
横浜みなとみらいホールでは22日、プロとアマチュアが共演する吹奏楽のステージ「わくわくブラス! at 横浜音祭り2019」を開催する。昨年に続いて2回目の開催。若手プロ吹奏楽団「ぱんだウインドオーケストラ」と36人の参加者をまとめ上げるのは指揮者の横山奏。本番に向けた練習の様子を見学した。
9月初旬の土曜日、みなとみらいホールの練習室に集まったのは吹奏楽を愛するアマチュアの奏者と、彼らをサポートする「ぱんだ-」のメンバー。本番までに各パートがレベルアップしていくための、2回目の合同練習だ。「この部分は勇気と推進力を持って演奏しましょう」「ここはピアニッシモでも音色がなくならないように」-横山の指示で、演奏だけでなく一人一人の顔つきまでがみるみる変化していく。
アマチュアのメンバーでも妥協せず、高い音楽性を追求していく、と意気込む横山は「今年は、吹奏楽といえばこの曲、というような“直球”の曲を選曲している。『オーメンズ・オブ・ラブ』や『アルメニアン・ダンスパートⅠ』は吹奏楽の経験者だったら演奏したことがあるはず。『交響詩 アルプスの詩』も知っている人が多いのでは。ポップスや映画音楽もプログラムに入っていて曲数が多いが、どのパートも良い感じに音が出せている」と充実した表情を見せる。

初の試みとなった昨年、アマチュアの参加者はプロと共演することで多くのものを吸収した。「東京芸術大学の同級生が核になって結成した、ぱんだウインドオーケストラのメンバーはスーパープレーヤーばかり。技術も高く、難しい曲も柔軟に演奏でき、カラフルで明るい音色が魅力。特に中高生には大きな学びになったのでは」。逆にアマチュアの情熱に、プロが刺激を受ける場面もあったという。「お互いの化学反応を一番前で受け止められて、エキサイティングな時間だった」と横山は振り返る。
今年は「吹奏楽の巨匠」と呼ばれる作曲家・指揮者のヤン・バン・デル・ローストがゲスト出演。自らが作曲した「横浜音祭り序曲」を指揮する。「彼の代表曲の一つ『カンタベリー・コラール』もプログラムに入っている。和音の積み重ねが美しい曲なので、正しい音程でよい音を出す基礎力が要求される。その上で音楽的にも完成度の高いものを追求していくのは大変だが、ひるまずに挑戦したい」
普段は交響楽団を指揮する横山だが「吹奏楽は、人間の呼吸がそのまま音になるという醍(だい)醐(ご)味(み)を感じられる。全員が大きく息を吸うタイミングなどは指揮をしていて気持ちいい」と笑顔を見せる。「ポップスを演奏している時の、奏者たちの楽しげな表情や、ハードルの高い曲に集中している時の真剣なまなざしにも注目して聴いてもらえたら」

わくわくブラス!at 横浜音祭り2019
22日午後4時開演。全席自由、千円ほか。チケットは横浜みなとみらいホールチケットセンター☎045(682)2000。