
【2019年9月8日紙面掲載】
先日、某デスクから聞かれた。「棋士と女流棋士って違うんですか?」
少々面食らったけど、喉元まで上がってきた「1年以上、当コラムと将棋欄のデスクやってきて今さら?」という本音は何とかのみこんだ。
確かによく分からない人も多いだろう。私もいつか触れたいとは思っていたのだが、当欄のスペースでまとめる自信がなかったのだ。いいきっかけをもらったので説明してみる。無駄な前振りのせいでますます行数が少なくなっちゃったけど。
日本将棋連盟のプロ棋士養成機関「奨励会」は、男女の区別がない制度。しかし奨励会に在籍する女性は数人で、まだ棋士となる「四段」には1人も到達していない。
一方、女流棋士になる方法はいくつかあるが、最も一般的なのは奨励会の下部組織「研修会」で規定の成績を挙げること。目安としては、奨励会入会試験で一番下の6級に受かるくらいの棋力があれば、女流棋士にはなれると思う。
棋士と女流棋士は、原則として別の土俵で戦っている。竜王戦など多くの一般棋戦に「女流棋士枠」はあるが、それは上位数人のみ。ほとんどの女流棋士は女流棋戦だけに出場資格がある。
スポーツではないのに男女の実力差が大きいことを、不思議に感じる人もいると思う。若い頃は仲間と熱く議論して、年配の棋士に「歴史の違いだよ、歴史」とひと言で片付けられてしまったこともある。そんな話もいずれまた取り上げたい。