26日からTOHOシネマズららぽーと横浜などで上映。
第2次世界大戦を数学者の視点で描いた、三田紀房による同名漫画の映画化。
日本が欧米列強との対立を深めていた1933年。海軍少将の山本五十六(舘ひろし)=写真左=は、空母の新造計画を提案。大型戦艦の建造を主張する派閥と対立する。大型戦艦ができてしまった場合、その存在感ゆえに自分たちの力を過信し、暴走しかねないと危惧する山本は天才数学者の櫂直(かい・ただし)(菅田将暉)=写真右=をスカウト。大型戦艦の見積もりには不正があることを証明するための頭脳戦が始まる。
冒頭5分、戦艦大和が沈んでいくシーンではコンピューターグラフィックス(CG)をふんだんに使いながら、戦争のむごさと日本軍兵士の絶望感を綿密に描き、観客を一気に物語の世界にいざなう。戦艦の建造計画の見積金額が適正か否か再計算するエピソードが主軸になるが、ベテラン俳優陣のめりはりが利いた芝居に引きこまれる。妨害を受けて調査に苦闘するも、大型戦艦の見積もりが低過ぎることを証明する会議の場面では、菅田が熱量の高い演技を見せつけた。
大和が建造されたことは歴史的事実であり、その結果に至るまでの櫂の苦悩がもう一つのヤマ場だが、軍隊嫌いの主人公が「日本国民を守るため」に戦艦建造に協力するか葛藤する姿をもっと見てみたかった。ラストシーンの櫂の涙が切ない。
監督/山崎貴
製作/日本、2時間10分