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【シネマ散歩】
【存在のない子供たち】中東のリアル描き出す

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年7月19日(金) 17:19


 20日からキノシネマみなとみらいなどで上映。

 レバノン人のラバキー監督が、中東の貧困層と移民の問題に向き合った作品。レバノンのスラム街で生まれ育ったゼイン(ゼイン・アル・ラフィーア)=写真=の視線を通じて、不当な扱いをされる子どもたちや移民労働者の現実を描き出している。

 両親が出生届を出さなかったために、戸籍のない少年ゼイン。学校へも通えず、きょうだいたちと路上で物を売るのが日常だ。妹が強制結婚させられたことをきっかけに家を飛び出したゼインは、レストランで働くラヒル(ヨルダノス・シフェラウ)と出会う。

 小さなバラック小屋で、ラヒルの子どもと3人の穏やかな日々を過ごすが、それも長くは続かなかった。エチオピア移民のラヒルが不法就労の疑いで拘束され、行き場をなくしたゼインをさらなる悲劇が襲う。妹の結婚相手を傷つけ、少年刑務所に入ったゼインは自分の両親を「僕を産んだ罪」で訴える。「世話ができないなら産むな」-。

 出演者は、演じる役柄によく似た境遇にある人々を監督がスカウト。主人公を演じた少年もシリア難民だったという。長期間のリサーチに基づいた物語と相まって、彼らの身体からほとばしる感情表現に圧倒される。映画の舞台は中東だが、少年が自分より弱い者を守ろうとし、成長していく姿に胸を打たれるのは万国共通だろう。

監督/ナディーン・ラバキー 
製作/レバノン、フランス、2時間5分

 
 

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