
かがり火のたかれた境内を会場に能楽を披露する「遊行寺薪能」が23日、藤沢市西富の時宗総本山遊行寺で開かれた。藤沢商工会議所やかながわ信用金庫などでつくる実行委員会の主催で、32回目。
宝生流が、金銀珠玉を積んだ船を竜神が守護するために出現する「岩船」と、阿闍梨(あじゃり)祐慶が鬼女を調伏して消えうせさせる「黒塚」の二つの能を披露。大蔵流が、主人の口まねをして次第に主人を困らせる太郎冠者と客とのやりとりをユーモラスに描いた狂言「口真似(まね)」を演じた。
夕暮れ時の境内には約1600人が来場。特設ステージの前に置かれたかがり火や優雅に響く笛、太鼓の音に導かれ、来場者は伝統芸能が醸し出す幽玄な世界に引き込まれた。