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聴き手の想像力が欠かせない 落語家・柳家三三

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年5月24日(金) 11:35

1974年生まれ。93年柳家小三治に入門。2006年真打ち昇進。クラシック音楽も趣味。来日する欧州の名門オーケストラの公演に「毎回、お小遣いをためて聴きに行く」と話す柳家三三=東京都内
1974年生まれ。93年柳家小三治に入門。2006年真打ち昇進。クラシック音楽も趣味。来日する欧州の名門オーケストラの公演に「毎回、お小遣いをためて聴きに行く」と話す柳家三三=東京都内

 「目を開いて客席を見ているんだけど、その前にうっすら幕があって、バーチャルの映像みたいなものがある。その風景をしゃべっているだけなんです」

 年間700席近く披露し、今、最も実力と人気のある落語家の一人だ。老若男女、登場人物の喜怒哀楽をさらりと演じ分け、あっという間に観客を物語の世界にいざなう。

 小田原出身。6歳の時、ラジオから流れてきた落語に夢中になった。中学生になると小遣いを握りしめ、一人で小田急線に乗って東京の寄席まで足しげく通った。

 生で見た初めての寄席が柳家小三治だった。「一番聞き心地がよかったんです。弟子になろうと、中3の時に師匠を訪ねました」

 「中卒は取らないから、高校卒業したらおいで」。あっけなく帰され、地元の小田原高校を出てからもう一度、門をたたいた。

 「小さい頃から人前でしゃべることは得意じゃなくて、むしろ面白い事も言えないと友達には思われていた」「落語家になる時も親に反対されず、そのことが逆にずっとコンプレックスだった」と、世間の破天荒な噺(はなし)家のイメージとは真逆の優等生で育ってきた。

 「先人の意思を受け継ぎたいとか、後世に名を残すとかいう気概もない。今があるだけなので」と話す。落語のネタも、古典、新作にこだわりはなく「今、自分が面白いと感じたものを披露するだけ」と語る。何者にも振り回されず“今”という時間と純粋に向き合ってきた。

 「神奈川がホームタウンだから、横浜にぎわい座の独演会は会場の雰囲気を温めるところから自分でやります」。「横浜三三づくし」と銘打ち、3席を一人でこなす。チラシも横浜の風景にこだわって制作するなどし、毎回、チケットが完売する人気ぶりだ。

 「自分の落語が面白いって言ってくれるのはありがたいけれど、演者の予想を上回るお客さんの想像力が落語には大事」と三三。「噺家はきっかけにすぎなくて、それが一番いいんじゃないかな」

「柳家三三独演会 横浜三三づくし」

 「柳家三三独演会 横浜三三づくし」の2019年度シリーズは、6月4日「万金丹」、8月14日「唐茄子屋政談」、10月8日「甲府い」、12月9日「言訳座頭」、2020年2月10日「鰍沢」。問い合わせは横浜にぎわい座☎045(231)2515。

 
 

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