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「完璧じゃなくていい」 フランス映画「パリの家族たち」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年5月21日(火) 16:15


 パリで暮らす女性たちを描いたフランス映画「パリの家族たち」が、25日から上映される。大統領、記者、小児科医、花屋、セックスワーカーなど、職業や年齢の異なる女性たちが織りなす群像劇。脚本も手掛けたマリー・カスティーユ・マンシオン・シャール監督は、女性であるが故に抱えやすい罪悪感からの解放を呼び掛ける。

 大統領アンヌ(オドレイ・フルーロ)の不安に揺れた表情が、画面に印象を残す。出産を機に「20年築き上げた自分の中の基礎や確信が全て崩れた」として、みるみる自信を失っていくそのさまは、キャリアと母親業との間で苦悩する女性の姿を映し出している。

 「母親が子どもの面倒を見ないといけない」「男性より女性の方が育児に向いている」。「そうした社会の認識が女性たちの罪悪感をつくり上げてきた」と、マンシオン・シャール監督は言う。


「罪悪感を覚えるのはある意味自然なこと。それでも自分自身がハッピーでいることはとても大切」と話すマリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督
「罪悪感を覚えるのはある意味自然なこと。それでも自分自身がハッピーでいることはとても大切」と話すマリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督

 「子どもを産むか産まないかというプレッシャーにさらされる女性や、仕事や趣味といった自分の時間をつくる母親の多くが後ろめたさを抱いている」

 生活の全てを育児にささげる毎日に疲弊する女性、高齢の母親と反りが合わない娘、教え子との恋愛を楽しむも子どもは望まず、「母親なら何をしてもいいの?」と目の前で授乳をする年下の女性にいら立ちを隠さない大学教授。登場人物の生き方と価値観は実に多様で正直だ。時にもがきながら、幸せに向かって奮闘する姿がそこにある。

 スクリーンに映る一人一人を通して「罪悪感を覚えているのはあなただけじゃない。完璧にならなくてもいいんだよ、ということを伝えたかった」と語る同監督は、悩みを抱える人に自分を肯定してほしいとの思いを本作に乗せた。

 舞台となったフランスは日本同様、女性の政治家が国のトップに就いたことがない。大胆にも「女性大統領」を映画に登場させたのは「映像化させることで、(政治家のリーダーを務める女性の姿を)人々の頭の中に残したかったから」。

 女性大統領が出産するとどのような反応が湧き起こるか、男性大統領の場合、これほどまでに育児との両立に悩むのか。そうした問いも暗に投げ掛けつつ、監督は「母親だけでなく、父親になることもとても大切なこと。そう教育することが必要」と強調する。

 その主張を裏付けるように、妻のキャリアを尊重しながら妻と子に愛情深く接するアンヌの夫が、全編を通して作品に安心感をもたらす。

 「独り苦しむ女性の力になれば」。アンヌが自身の苦悩を独白する場面が終盤にある。監督もこのせりふを連想させるように言葉を重ねた。「この映画を見て女性が力をもらってくれたらうれしい」

 ※25日からシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA(いずれも東京)ほか、全国順次公開。横浜のシネマ・ジャック&ベティで6月8日から、あつぎのえいがかんkikiで同15日から公開予定。

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