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戦争責任と向き合う 劇団民芸が舞台上演へ

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年5月16日(木) 17:27

舞台への意気込みを語り合う桜井明美(左)と中地美佐子
舞台への意気込みを語り合う桜井明美(左)と中地美佐子

 劇団民芸(川崎市麻生区)が6日、戦争責任と向き合う舞台を同区内で上演する。BC級戦犯裁判を巡る故木下順二作の「夏・南方のローマンス」(演出・丹野郁弓)。戦争がもたらす不条理、戦後の日本社会のありようを鋭く問う本作は、不都合な過去の忘却にあらがう戯曲でもある。舞台の鍵を握る俳優二人に、作品に込める思いを聞いた。

 生涯をかけて、日本の戦争責任の問題を追及した木下。「夏・南方のローマンス」は1987年に宇野重吉演出で初演し、2013、18年には丹野の演出で上演した。

 敗戦後、1人の上等兵が南方の島で絞首刑を宣告された。ある日、上等兵の愛人で漫才師の「女A」は、彼の妻である「女B」に会いに行く。やがて明らかになっていくBC級戦犯裁判。島民虐殺を命じた上官は極刑を免れ、誰よりも島民と親しかった通訳の上等兵が実行犯として処刑される不条理さが描かれる。

 「すごい山が目の前に立ちはだかった」。「女A」役の桜井明美、「女B」役の中地美佐子はともに、13年に本作への出演が決まった時の心境をこう表す。戦争の時代を生きた先人、歴史の暗部に目をそらすことなく筆を執り続けた木下。「戦争を知らない私が、彼ら、彼女らからバトンを託された気持ちになった」と中地は言う。


「夏・南方のローマンス」の一場面
「夏・南方のローマンス」の一場面

 上等兵の妻と愛人。互いの嫉妬から始まる二人の関係は、戦後の公園から裁判の法廷と、時空を超えて繰り広げられる劇空間の中で徐々に変化を見せていく。桜井は「絶妙な距離感や緊張感を漂わせながら、対峙(たいじ)する相手の存在を認めていく」。二人の関係性の変化が、この芝居の軸となっているという。

 「通例の戦争犯罪」「人道に対する罪」が連合国7カ国によって裁かれたBC級戦犯裁判。世界各地の49カ所で、1945年から51年まで続いた。

 およそ70年を経た今も、本作を上演する意義は何か。旧日本軍の侵略行為によって生まれたあまたの犠牲者とその家族がいる以上、「これは常にタイムリーな問題。劇団として断続的に向き合っていく」と、民芸は上演を重ねてきた。

 日本人が自らの手で戦争責任を追及し得なかった事実を、演劇ならではの手法で伝える本作は、最後は一人一人に自分でこの問題と向き合うことを促す。

 明確な解決策を示さないが故に「重苦しさの残る舞台。そんな中にも、キーとなる言葉が巧みにちりばめられたせりふ回しも見どころの一つ。木下戯曲の世界観を存分に味わってほしい」と、桜井と中地は口をそろえた。

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