花や自然の恵みをいただく祭り事に包まれた4月
【2019年4月7日紙面掲載】
桜に続いてかわいらしい春の花の百花繚乱(りょうらん)の出番です。古くは山遊びや春山入りといって、今の花見のように食べ物を持ち、出かけていく習わしがありました。折しも本日7日は旧暦の桃の節供(せっく)ですから、本来行われていたひな祭りの季節です。3月3日よりずっと暖かいですね。
ひな人形を飾る習わしとは別に行われていたのが、浜下りなどといい、ごちそうを手に海辺に出かけ、身を清める風習でした。今も、奄美や沖縄では海の水を手ですくう習わしが残るところもあり、以前は神奈川の海辺でも行われていたのだとか。
山遊びも磯遊びも、自然の力を楽しみつつも、目に見えないものに祈る穏やかな時間が流れていたのだと思うと、うらやましい限りです。古きものの形の中には、かけがえのないものが眠っているように思います。そのままは無理でも、暮らしに合わせて楽しむうちに、大切な何かは引き継がれていく。そんな時代になるといいなと思っています。