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新進気鋭の女性映画監督がオムニバス映画 県内で上映

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年2月22日(金) 13:00

[左から]加藤綾佳監督、竹内里紗監督、安川有果監督=東京都内
[左から]加藤綾佳監督、竹内里紗監督、安川有果監督=東京都内

 新進気鋭の女性映画監督が集まったオムニバス映画「21世紀の女の子」が22日から、県内で上映される。「自分自身のセクシャリティーあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること」。企画・プロデュースの山戸結希監督が投げ掛けたテーマを、総勢15人の女性が描いた前代未聞の取り組みだ。参加した3人の監督に思いを聞いた。

 山戸監督は、企画に寄せてこうメッセージを発信した。

 「この作品を見終わったとき、新しい議論と待ちわびた希望が生まれるような、未来の女の子たちのためのオムニバス短編集にしたいと考えました」

 映画「溺れるナイフ」などで知られる山戸監督。1980年代後半~90年代生まれの監督らに自ら声を掛け、15本の作品(各8分)を集めたオムニバス映画の企画を実現させた。

 出演者は、石橋静河、唐田えりか、伊藤沙莉ら、ヨコハマ映画祭でも賞に輝いた注目の役者がそろう。

 企画の背景には、女性監督の少なさを危惧する山戸監督の思いがあった。「10本に1本は女性の手による映画作品に出合えるかもしれませんが、それは、多いのでしょうか、少ないのでしょうか」(山戸監督のメッセージから)。


映画「21世紀の女の子」チラシ
映画「21世紀の女の子」チラシ

 スクリーンには、さまざまな“女の子たち”が登場する-。女性が自らの性や、ジェンダー(社会によって形つくられた男女の差異)のしがらみを指摘することで、未来につながる新しい女性像を表現しようと試みる。

 芸術家の男性と暮らす女性を描いた「ミューズ」の安川有果監督は言う。「男女平等が当たり前ですが、まだ社会では、男性がつくり出したイメージに女性が搾取されている現象があると思っています」

 作品では、男性の“ミューズ”となった女性のはかなさや、心情を繊細に伝える。「例えば、テレビで見る『おばかキャラ』も『ミューズ』と同じです。生きていたら『おばか』でも『ミューズ』でもない一面は必ずあって、そういう視点を投げ掛ける作品にしたかった」と語る。

 女性の性欲をとうとうと描いた「粘膜」の加藤綾佳監督は、「女性が『セックスが好き』と言ってもいいじゃないかと。私は男女平等だと思っているので、女性性が消費される側面だけでなく、男性性を消費する女性の姿も描きたいと思った」と語る。

 レズビアンのカップルを描いた「Mirror」の竹内里紗監督=藤沢市出身=は、「まず女性たちで集まって動かなきゃという山戸監督のパワーには、すごく感化されました」と振り返る。一方、「『#MeToo』運動や、女性たちが集まって声を上げることをからかう人もいるけれど。男性側にも自分も虐げられていてつらいのに女性たちばかりが権利を主張するのかとか、いろいろ感情があると思う。けれど、それも含めてこのオムニバス映画の賛否を受け止めたい」と語る。

 山戸監督の作品「離ればなれの花々へ」では、3人の女性がジェンダーを巡るそれぞれの思いを踊りながら叫んでいく。

 完成した映画を見て、竹内監督は言う。「15本の映画があって、いろいろな女性たちがいて、自分たちが楽しいと思っていることも違うし、いろんな感じ方があるんだとあらためて思いました」

 性別の枠を超えて一人の人間として生きていく“自由”が何よりも大切だと、“女の子たち”は伝えている。

 
 

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