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インタビュー
舞台「Memory of Zero」 作品に込めた思い

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年3月1日(金) 12:35

「音楽、ダンス、演劇、三者三様の付き合いから生まれるものをこの公演で見つけたい」と話す白井晃 =東京都内
「音楽、ダンス、演劇、三者三様の付き合いから生まれるものをこの公演で見つけたい」と話す白井晃 =東京都内

 神奈川芸術文化財団の芸術総監督で、作曲家・ピアニストの一柳慧と、KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督で、演出家・俳優の白井晃。二人がコラボレーションする同財団芸術監督プロジェクトが9、10の両日、県民ホール(横浜市中区)で開かれる。二人が作品に込めた思いを聞いた。

 2016年にKAATでスタートした同企画は、17年の県立音楽堂での開催に続き、3回目を迎える。

 今回のテーマは、ダンス。「音楽と身体をテーマに、ダンスとは何か」を、長年、コンテンポラリーダンスシーンに注目してきた二人が新たに捉え直す。

 1950年代に米国に渡り、ジョン・ケージらと親交を深めた一柳。昨秋、文化勲章を受章するなど現代音楽をけん引する存在として活躍する。

 米国ではコンテンポラリーダンスの創成期にも触れ、枠にとらわれない前衛的な表現を試みてきた。一柳は「最近のコンテンポラリーダンスは、クラシックやポップミュージックなど、伴奏ありきのダンスを披露する作品が目立っているのでは」と危惧する。

 白井もまた、80年代からコンテンポラリーダンスに注目してきた一人として、「今のダンス界が、コンテンポラリーの後に、どこに向かおうとしているのか気になっていた」と語る。


「震災や戦争、破壊を目の当たりにした時に人はどう未来に向かって再生するのかを、8番には込めて作曲しました」と話す一柳慧
「震災や戦争、破壊を目の当たりにした時に人はどう未来に向かって再生するのかを、8番には込めて作曲しました」と話す一柳慧

 「音楽とダンスが互いに切磋琢磨(せっさたくま)していた緊張感を舞台で表現したい」と二人。一柳が東日本大震災を機に創作した「交響曲第8番 リヴェレーション2011」を中心にクラシック音楽も組み入れ、型に収まらない演出を試みる。

 白井は「例えば、バッハが流れたときと、8番が流れたときとでは、ダンサーの身体の動きは変わるはず。音楽と身体は密接な関係があることを改めて知ることができる作品にしたい」と話す。

 モナコ公国モンテカルロ・バレエ団のプリンシパルとして活躍する小池ミモザをキャストに、第1部は「身体の記憶」、第2部は米国の作家ポール・オースターの小説を基にした「最後の物たちの国で」を披露。現代のダンスシーンに一石を投じる。

 劇場空間の使い方も見どころの一つだ。舞台上に客席を設置し、観客は普段、自分たちがいる空間を眺めることができる。

 白井は言う。「人は聞こえないもの、見えないものに出合うことで、感覚が研ぎ澄まされる。意味が分からなければ意味を考えるし、分かりやすい音楽、分かりやすい物語の安易さを取り除きたい。当たり前と思っているものを壊していく。そんな場になればいいと思っています」

◆「メモリー・オブ・ゼロ」は9日午後6時、10日同3時開演。一般6500円など。問い合わせはチケットかながわ電話(0570)015415。


公演の告知ポスター
公演の告知ポスター
 
 

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