日本のコンテンポラリーダンスを牽引(けんいん)する一人、二見一幸(51)主宰の「ダンスカンパニーカレイドスコープ」(大和市)が、スペース・ゼロ(全労済ホール、東京都渋谷区)で25回目の自主公演を行う。立ち上げから20年以上、二見が演出、振り付けを手掛けてきた作品を複数上演。「カレイドスコープ」の世界がぐっと詰まった独創性豊かな舞台を届ける。
「どの作品を披露するか迷いましたが、最終的には『もう一度見たい』というお客さんの声に背中を押されました」。柔和な笑みを浮かべてこう語る二見が今回選んだのは、「魚の背」「モノディアロゴ」「CHAIN EFFECT」「白夜」の四作品。いずれも2002~18年に初演した思い入れが深いものばかりだ。
「日本では新作が期待される傾向にありますが、再演を大事にしているんです」。毎年10近くの新作を出すカレイドスコープだが、二見は再演にこそ重きを置いている。演じるごとに作品に変化が生まれたり、踊り手自身の感性も新たに磨かれたり。「作品はずっと付き合っていく存在。大切に向き合いたい」と話す。
海老名市出身。中学生の頃にモダンダンスを始め、後に舞踊家庄司裕に師事する。庄司の振り付け現場を見学したのが、自身も振付家を目指す転機となった。
「庄司先生の動きに、ダンサーが自分の体を使って応える。何もなかった空間に一つの作品が創り出されていくその過程がすごく面白くて」。気が付けば「どうすれば振付家になれますか」と恩師に聞いていた。
26歳で渡仏。2年間のダンス留学を経て、帰国後の1996年にカレイドスコープを設立した。自身の名前「かずゆき」の「K」をフランス語の辞書で引いた折にぱっと目に入った言葉が“Kaleidoscope”。「めくるめく、さまざまな印象」という意味もあると知り「自分が目指すダンスの方向性にぴったりだと感じて、カンパニーの名に当てました」
設立当初は10人ほどでスタートし、今は40人前後がスタジオに集う。メンバーが見据えるのは「現実とかけ離れた美しく幻想的な世界。そして人間の動きの面白さを追求した表現」だという。
上演作品の一つ「魚の背」は、曲線や群れの移動など、魚特有の動きを身体で表現する。「白夜」は安らぎの場を求める難民の人たちを映した映像作品にインスピレーションを受けて振り付けた。
「初演から出演者が増えたり、振りを付け直したりしたものもあります。作品ごとの時間の流れや時代背景も楽しんでもらいたい」と二見。カレイドスコープらしい独特な空間を届けられれば、と話している。
◆26日午後6時半、27日同1時、5時開演。チケット料金などの問い合わせはカレイドスコープ電話046(273)4037。