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日本将棋連盟指導棋士五段、本紙将棋担当記者
将棋のはなし(90)年末に届いた退会の報

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年1月17日(木) 06:44

【2019年1月13日紙面掲載】

 大掃除という現実から目を背け、自宅でワインとチーズの無限ループに陥っていた昨年12月30日の昼、そのメールは届いた。「師匠と相談し、奨励会を退会しました」。

 最近は会う機会もほぼなかったが、就学前から指導してきた教え子である。4年生で小学生日本一になり、プロ棋士を目指して奨励会に入会してから4年強。勝てない状態が長く続いていたので特に驚きはなかった。

 残念ではあるけどまだ中学2年。今後どのような道に進むとしても、勝負の世界での経験は貴重な財産になる。

 日本将棋連盟の規定で指導棋士は弟子を取ることができない。私はこれをありがたく思っている。師匠になるなんて重責はとても担えないし、もしルール上許されていたならば、彼だけは断れなかっただろうから。

 ワインボトルが空になり、酔った頭で返信の文面を考えた。こんな時に長文の説教はよくないから、シンプルにしたい。

 私が奨励会を退会した時、長く将棋を教わっていて散々お世話になったトップ棋士に「何もしてあげられなかったね」と言われた。恐縮しつつ、かっこいい先生だなと思った記憶がある。

 だから今回、彼には同じメッセージを送った。でも私の場合、本当に何もしてあげてないから、全然かっこよくない。

 「当面は受験勉強」だというから少し先になるだろうけど、また会える日を楽しみにしたい。

 新田康輔君、お疲れさまでした。

 
 

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