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服部宏のシネマパラダイス
名優ランドンに引き込まれる 「ティエリー・トグルドーの憂鬱」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2016年9月8日(木) 10:23

(C)2015NORD-OUEST FILMS-ARTE FRANCE CINEMA
(C)2015NORD-OUEST FILMS-ARTE FRANCE CINEMA

 やっと見つけた職場は管理体制が厳しく、利益最優先。どこまで耐えられるか。フランス映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱(ゆううつ)」は、世界のどこにでもありそうな話。うらぶれて、なお己の矜持(きょうじ)にこだわる中年男を演じた名優バンサン・ランドンに引き込まれる。

 リストラされたトグルドー(ランドン)=写真=は、エンジニア一筋で来た51歳。妻と障害のある息子がいる。会社との闘争を続ける気力は、もううせた。職業紹介所の勧めで研修を受けて資格を取ったが、現場経験がないからと就職できない。模擬面接では「態度がおざなり」などと、さんざんな言われようだ。

 何とか、スーパーマーケットに採用されたが、仕事は万引などの監視員。そこには、さまざまな人間の苦悩が渦巻いていた。「母の身終(みじま)い」に続く、ステファヌ・ブリゼ監督とランドンのタッグ。

 職業紹介所の職員や銀行員のいんぎん無礼な態度や模擬面接でのしんらつな批判が、トグルドーに突き刺さる。抑えた演技ながら、その表情と目つきが内面のいらだち、怒りを痛いほど伝える。身につまされるリアルさ。カンヌ国際映画祭とフランス・セザール賞の主演男優賞をダブル受賞しただけのことはある。

 理不尽さといかに折り合いを付けて、一家の生活を守るか。ひりひりする現実とのせめぎ合い。複数の監視カメラがとらえるマーケット内の様子がサスペンスを生む。そんな中で、同僚のベテランレジ係が万引した。管理する側に回ったトグルドーの憂鬱は深まるばかりだ。

 ラスト。人間の誇りを懸けて、彼はある行動に出る。

 1時間32分。ヒューマントラストシネマ渋谷で上映中。

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