4月3日から横浜ブルク13などで上映。
結婚3年目で突然妻を亡くした男性とその娘の、10年にわたる物語。〝残された人たち〟の成長を、季節の移ろいと共に描いた重松清の同名小説を映画化した。
シングルファーザーの武田健一(山田孝之)=写真左=は、会社のフレックス勤務制度を使いながら娘の美紀を育てていた。仕事と家事と育児に奮闘し、疲れて眠ってしまう毎日。そんなある日、美紀が急に保育園に行くのを嫌がるようになってしまう。
エキセントリックな役柄の印象が強い山田が、悩みながらも娘と一緒に成長していく健一を繊細に演じている。亡くなった妻の両親に対する複雑な感情や、父親より友達に大事なことを話すようになっていく娘に感じる寂しさをさりげなく表現。お盆の送り火に妻の面影を見る表情が切ない。
親子が共に年を重ねていく中で起きる、気持ちの擦れ違いやわだかまりが一気に解決するのではなく、お互いに歩み寄り、少しずつ心を解きほぐしていく様子にリアリティーがある。
成長していく美紀を演じる3人の子役がひたむきで涙を誘う。義理の両親を演じた國村隼と余貴美子ら、親子を見守る人々を演じた俳優陣も、地に足の着いた演技で作品を豊かにした。
飯塚監督ならではの軽妙な会話やギャグが浮いてしまっている場面が気になるが、丁寧に描かれた家族の物語に心が温まる。
監督/飯塚健
製作/日本、1時間58分