中東地域をはじめ、北アフリカや東南アジアなど、イスラム教文化圏の国や地域を舞台にした映画を上映する「イスラーム映画祭5」が14~20日までユーロスペース(東京・渋谷)で開催される。「映画を通じて、イスラム世界で暮らす人々の文化や日常を知る」ことをテーマに2015年から開催しており、今年で5回目。シリア難民の窮状、西サハラ問題、児童婚を描いた社会的な作品から、イスラム教徒の恋愛事情を描いたものまで、13本の作品が上映予定だ。
作品はすべて主催者の藤本高之が自ら権利元と契約を交わしたもの。レバノンやエジプト、イランなどでは、娯楽作品を含めた数多くの映画が製作されているが、それらのほとんどは日本で公開されることはない。「国際映画祭を経由するため、日本で目にするのは内戦や難民をテーマとしたシリアスな作品が多くなってしまうのは否めません」と藤本。
今回も幅広いジャンルの作品を上映するが、イスラム教の起源を描く歴史大作「アル・リサーラ」やパレスチナ問題を描く「ガザ・サーフ・クラブ」など、イスラム教とその社会が抱える問題を直球で描いた作品を見てほしい、と訴える。「サウジアラビアと日本の大学生の交流を描いたマンガ『サトコとナダ』がヒットするなど、日本でも等身大のイスラム教徒への理解が広がってきてはいる。しかし、パレスチナやイエメンの内戦などについての報道はほとんどありません。この映画祭を通して、中東地域が抱える問題を知ってもらえたら」
映画祭期間中は、ジャーナリストらを招いたトークセッションも行われる。上映スケジュールは同映画祭ホームページに掲載。チケットの問い合わせはユーロスペース☎03(3461)0211。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、延期の可能性あり