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はかなさや憂い、力強さも表現 関取花がミニアルバム

芸能 | 神奈川新聞 | 2020年3月5日(木) 18:31

「葛藤もありましたが、青春時代に聴いた音楽を聴き直したりしてピュアな気持ちを取り戻しました」=東京都港区
「葛藤もありましたが、青春時代に聴いた音楽を聴き直したりしてピュアな気持ちを取り戻しました」=東京都港区

 愛嬌(あいきょう)ある人柄と伸びやかな声で歌い続ける横浜出身のシンガー・ソングライター関取花が、きょう4日にミニアルバム「きっと私を待っている」を発表する。明るさが印象的な前作とはまた別の、はかなさや憂いを含みつつも前へ進む力強さを表現した。メジャーデビューからこの春で1年。積み重ねた挑戦と経験を聞いた。

 「前作がカーテンをばっと開けて光が入ってくるような作品だとすれば、今作はトンネルの先に見える光。救われるような光だと考えています」。昨年5月、メジャーデビューの際に出したミニアルバム「逆上がりの向こうがわ」は“開けた”感じ。対して本作では自らを奥深く掘り下げた。

 1曲目「逃避行」の歌詞にその一端が表れている。〈いつも世界の隅で ただ震えていた日々から 抜け出してひとつになれるなら〉。逃避をネガティブなものでなく、前進のための「衝動」と捉え直した。「ミュージシャンとしての奥行きを見せるために、あえてマイナー調のフレーズにしました」。とはいえ単に暗いのではない。サビに進むにつれ「光」が増すような高揚感に包まれるのだ。

 2曲目「はじまりの時」も、哀調を含みながら〈歩き出せばどこかで また巡り合えるから〉と前向きな心情をつづった。本作を通じて、演奏も、エレキギターを象徴的に用いるなど全体的にバンドサウンドを強め、歌詞の世界観をしっかりと固めた。

 全曲の作詞作曲を手掛けた関取は「頭でっかちになって、歌詞が全然出てこないこともありました」と打ち明ける。メジャーデビューを機に経験したことのない慌ただしさに直面し、疲れ、日々を「こなす」のに精いっぱいだった時期もあったのだという。


ミニアルバム「きっと私を待っている」
ミニアルバム「きっと私を待っている」

 そんな葛藤の中で書いたのが「家路」だった。日常から抜け出し、横浜の実家へ帰る話だ。〈窓の外からビルが消えて 少しずつ空が広くなってく〉という歌詞は、電車の窓から見た風景。「久しぶりに夕焼けを見て、意味もなく泣けてきて…」と、自分自身の家路をメモするように描いた。

 ブログや「いきものがかり」の水野良樹が手掛けるウェブサイト「HIROBA」、本紙日曜版の「木もれ日」などエッセーで見せる文才は鋭い。「素の自分が出ている気がする」という文章の力を培ったのは、幼少期の読書。「父が読書家で、私もすごく好きになりました」。字数制限のある「木もれ日」を担当したことで、推敲(すいこう)を重ねるようになり「作詞にも役立ちました」とステキな一言も。

 歌詞によく登場させる「僕」は、男でも女でもない、少年性を表す一人称。それは、何も気にせず、何でも言えて挑戦できた青春時代の象徴だ。「もう過ぎ去った時代だけれど、夢を見続ける美しさは決して忘れていません。その衝動を描きたいんです」

せきとり・はな 1990年生まれ。NHK「みんなのうた」や多くの夏フェスへの出演を経て、2019年にユニバーサルシグマからメジャーデビュー。この4月から「春の五線譜ツアー」全9公演を開催。東京では4月30日にマイナビBLITZ赤坂で。

 
 

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