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ダンス・演劇を演出/山田うん
NIPPON・CHA!CHA!CHA! 1月・KAAT

芸能 | 神奈川新聞 | 2019年12月27日(金) 20:06

舞台への意気込みを語る山田うん=横浜市中区
舞台への意気込みを語る山田うん=横浜市中区

 マラソンで五輪出場を目指す若者の孤独と挫折を描いた舞台「NIPPON・CHA!CHA!CHA!」(作・如月小春)が1月、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で上演される。演出は茅ケ崎出身の振付家、ダンサーの山田うん。「ダンス版」と「演劇版」を同時に披露する意欲作だ。

 1988年に演劇として初演された本作の舞台は、高度成長期に入る前の日本。経営難に陥り倒産を免れようと試行錯誤する靴工場に、足の速いカズオが救世主のごとく現れる。町の期待を一身に背負うカズオは、工場の靴を履いて走り続け、ついに五輪選手の候補に選ばれる。しかし、大事な大会を前にけがをしてしまい…。

 当初はダンス作品のみを手掛ける予定だったが、山田は演劇版を加えた2本立て上演を自ら発案。その理由を次のように語る。「原作を読んだらとても音楽的で詩的な世界に富んでいた。踊りとともに言葉を通して表現しても興味深いものができると思ったんです」

 一つの作品を二つの違うアプローチで創造する試みは、どのような面白さを生み出すのか。山田は、自身が振り付けるダンスで「より想像の世界を広げられる」と話す。

 熱狂する群衆と、周りの期待に応えようと独りで耐える主人公の姿を映し出す本作。「ダンス版では、物語で描かれていない人間関係をつくり、一人の人間の孤独と集団のスピード感をさまざまな場面で表現します」。「集団と個」を軸に、ソロ、デュエット、群舞と多様な踊りのスタイルを展開する。

 「カズオは孤独の象徴であり、彼自身が夢そのものでもある。カズオが見た夢や、登場人物のキャラクターをさらに深めた踊りが立ち上ります」

 一方、演劇の演出は初めての山田。「言葉には一人一人の個人的な感情や思い出が無数に結び付いている。共通言語をつくるのが難しくて、自分には手に負えない存在だった」と笑う。

 今回はあえてその世界に飛び込み、演技にも挑戦する。「踊っている時は指先から足の先まで自分を客観視できるけど、芝居の場合はなかなかそこに行き着かないので歯がゆいですね」

 演劇の演出、演技に加え、ダンスと演劇の2本立て上演と初めて尽くしの今を「崖っぷち」と表する山田。だが、それこそが自らを奮い立たせるのだという。「崖っぷちに立つことで鋭い感性が生まれる。追い込まれなければ到達できない世界がある」と、刺激的な創作の過程に充実の表情を見せた。

 作曲家のヲノサトルが両バージョンの音楽を担当。「舞台装置もダンス版と演劇版で共有します。空間や音楽、人が、ダンスと演劇でつながるのが最大の見どころです」と山田。未来に向かって奮闘する登場人物の姿を通じて「自分自身の在り方などを客観的に、また主観的に考えてもらえたら」と話している。

 主役のカズオを演じるのは俳優の前田旺志郎。1月10~19日(14・17日は休演)。チケットは一般6千円、65歳以上5500円、24歳以下3千円、高校生以下千円ほか。問い合わせはチケットかながわ☎(0570)015415。

 
 

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