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日本映画のはじまり描く 「カツベン!」13日から上映

芸能 | 神奈川新聞 | 2019年12月12日(木) 12:08

(C)東映
(C)東映

 大正から昭和初期の映画館は、活動弁士が熱弁をふるい、観客が熱狂するライブパフォーマンス会場だった-。若き活動弁士を軸に、活気あふれる日本映画のはじまりを描いた映画「カツベン!」=写真上=が13日から公開される。映画愛にあふれた娯楽作を仕上げた周防正行監督に、5年ぶりの新作に込めた思いを聞いた。

 活動弁士は、映画に音がついていなかった時代、自ら台本を書いて登場人物のせりふに声をあて、物語を説明する役割を担っていた。映画の人気が高まるにつれ、各映画館専属の活動弁士がそれぞれの持ち味を生かして活躍。最盛期の1928(昭和3)年ごろには約7500人の活動弁士がおり、人気の弁士はかなりの高収入を得ていたという。

 映画のトーキー化に伴い彼らは役目を終えていくが、現在も十数人の活動弁士が活動中だ。本作でも片岡一郎と坂本頼光らが俳優への指導を行い、出演もしている。

 「活動弁士は日本映画にとって非常に重要な存在だった」と語る周防。「その頃の映画は活動弁士がいることを前提に作られていた。例えば小津安二郎監督の無声映画『出来ごころ』(33年)を活動弁士付きで見ると非常に面白い。ただ『浮草物語』(34年)あたりからは語りが邪魔になる。小津さんは、活動弁士に勝手にせりふをつけられるのが気に入らなかったんじゃないか、というのが僕の仮説です」と愉快そうに笑う。


活動弁士を演じた成田凌は作品内で見事な語りを披露。「特訓を重ねて語りのプロになってくれた。役者根性を見せてくれました」(横浜市内、撮影・立石 祐志)
活動弁士を演じた成田凌は作品内で見事な語りを披露。「特訓を重ねて語りのプロになってくれた。役者根性を見せてくれました」(横浜市内、撮影・立石 祐志)

 撮影地にもこだわり、大正時代の雰囲気を丁寧に再現した本作は、ドタバタした乱闘劇や逃走劇も特徴的だ。「『活動写真』はもともと『写真が動く』ことの驚きを伝えるもの。映画人は、観客が驚くアクションをどう作るか知恵を絞った。バスターキートンは列車が家に激突するようなシーンを、チャプリンはあの扮(ふん)装(そう)と歩き方を見せることで拍手喝采を得た。この作品は、その頃の活動写真のような楽しい仕上がりにしたかったので、アクションを大事に撮りました」

 「映画鑑賞のスタイルが変化しつつある時代だからこそ、この作品を作りたかった」という周防。「フィルムで撮影し、スクリーンに投影したものを、不特定多数の人が集まって見るのがこれまでの映画だった。デジタル撮影した映画がネットを通じて配信され、スマートフォンの画面で鑑賞できる今、映画館で映画を見る価値を思い出させてくれたのが、みんなで声を上げながら鑑賞できる“応援上映”。活動弁士がいた時代も、歓声ややじが飛び交っていたはず。4DX(体感型上映システム)を含めた特別な映像体験が、これからの映画館の価値になるのでは」

 ヒット作が次々と生まれるようになった今の日本映画業界については「90年代と比べて隔世の感がある」というが「漫画の実写化ばかりでなく、オリジナル作品で勝負してほしい」と注文も。「映像作品を制作する手段、発表するチャンスは拡大している。『カメラを止めるな!』のようなユニークな作品が増えてほしいと思っています」

【あらすじ】活動弁士に憧れる染谷俊太郎(成田凌)は、ニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいたことを隠したまま映画館に雇われ、人気弁士に成長していく。初恋相手とも再会するが、逃げ出した泥棒一味のボスに見つかり命を狙われる。13日から横浜ブルク13などで上映。

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