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【シネマ散歩】
【アナザーラウンド】酔っぱらいたちの冒険

芸能 | 神奈川新聞 | 2021年8月27日(金) 11:39

 9月3日から横浜ブルク13などで上映。

 飲酒の年齢制限がなく、16歳から店頭で酒類の購入ができるというデンマークから届いたコメディー映画。

 仕事への気力を失い、家庭でも居場所を失いつつある高校教師のマーティン(マッツ・ミケルセン=写真)。同僚の3人と訪れたレストランでも浮かない顔をしている彼に、心理学教師のニコライは「血中アルコール濃度を常に0.05%に保てば自信とやる気を手に入れることができる」という眉唾ものの理論を吹き込む。久々に酒を飲み、気分が高揚したマーティンは翌朝、1人で理論の検証を始める。

 学校内でこっそりアルコールを摂取したマーティンは独創的で活気に満ちた授業を展開し、生徒を熱狂させる。彼の「実験結果」を知った同僚3人は即座に参加。仕事もプライベートも絶好調で手応えを感じたマーティンは、濃度制限をなくすことを提案する。

 荒唐無稽な設定にも思えるが、本当に飲酒しているとしか思えない迫真の演技とスリリングな展開に引きこまれてしまう。適切な飲酒量がわからなくなった登場人物たちが危機に陥っていく様子は、お酒を楽しむ人にとっては見るのがつらいかもしれない。

 一方で、ダンサーとしても活躍していたマッツがキレのある踊りで学生たちを祝福する爽快なシーンは幸福感に満ちている。人生に必要なのは、温かい人間関係と「適量の」お酒であると感じさせられる作品。

監督/トマス・ビンターベア
製作/デンマーク・スウェーデン・オランダ、1時間57分

 
 

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