【2021年8月20日紙面掲載】
長崎市出身で文学座創設に関わるなどして活躍した劇作家・演出家の田中千禾夫(ちかお)が、1959年に発表した戯曲「マリアの首」を映画化した。
57年の暮れ、浦上天主堂の保存を巡って世論が分かれる長崎。首に被爆時のケロイドがあるカトリック信徒の女性、鹿(しか)(高島礼子)と、詩集を売りながら、原爆の跡地で自分を犯した男を探している忍(黒谷友香)らは、天主堂から被爆マリア像の残骸をひそかに運び出していた。
戦争と原爆の悲惨さを訴える。松村克弥監督。1時間50分。横浜のシネマ・ジャック&ベティで20日から上映。
!…多様な思いを抱える人々が交錯し、戦争の傷跡を残し、伝えていく難しさを問う。