プロ野球の横浜DeNAベイスターズ、ヤクルトスワローズを愛する2人の落語家による落語会「三遊亭ときん、古今亭駒治のただの野球好き」が9月23日、横浜にぎわい座(横浜市中区)で開催される。「大洋ホエールズ時代からのファン」だというときんは「9月にはクライマックスシリーズに絡める順位になっていることを祈りつつ準備しています」と声を弾ませる。
昨年8月に開催された第1回には、両チームの熱いファンたちが集結。それぞれのチーム事情を折り込んだ落語とトークで客席は沸いたが「一番盛り上がったのは共通の敵・ジャイアンツの悪口ですね」と笑う。
普段は古典落語を演じているときんだが、第1回では「千早振る」と「大工調べ」を基にした「ベイ千早」「ラミレス調べ」を披露した。「大工調べ」は大工の言い立て(たんか)が見どころだが「ラミレス調べ」では「そこにいる由伸はもともとヤクルトファンだろう、それを無理やり札束で…」と流ちょうな日本語でたんかを切るラミレスの姿に客席が沸いた。「笑いのポイントが想定しやすい古典落語と違って、新作落語は意外なところで笑いが起きることもあって新鮮でした」と手応えを語る。
同じく新作落語「ビール売りの女」「助っ人の詩」を披露した駒治とは入門時期が近く、鉄道ファンという共通点もある。「駒治さんは常に新作落語を作り続けるエネルギーとセンスの持ち主。たまに発揮される毒舌ぶりも楽しんでほしいですね」
高校3年生の時、国立演芸場で初めて見た落語に衝撃を受け、東京農業大学の落語研究会を経て2003年に五代目三遊亭金馬に入門した。「いつも笑顔で優しく、裏表のない師匠。自主性に任せてくれているけれど、横道にそれそうになるとさりげなく軌道修正してくれます」と尊敬の念を込めて語る。
笑いの押し引きのバランスがつかめなかったときんに金馬が教えたネタは「千両みかん」。真夏に「ミカンを食べたい」と言って寝込んでしまった若旦那のために、ミカンを求めて番頭が江戸中を探し回る話だ。弱々しい声で話す若旦那のせりふでも観客がクスッと笑ってくれる手応えを得て「ぐいぐい押してばかりの自分の芸は、お客さんが逃げてしまっていることが師匠には見えていたのかも」と振り返る。「落語は生き物。やるたびに理解が深まるし、発見があって面白いと思うことばかりです」
プロ野球愛を落語に昇華 三遊亭ときんが落語会
桂米助をはじめ、プロ野球を愛する落語家は多い。「ひいきのチームが負けて不機嫌になる師匠もいて、そんな時は寄席の楽屋が緊張感に包まれます」=横浜市内(撮影・立石祐志) [写真番号:708995]
[写真番号:709005]