【2021年6月11日紙面掲載】
日本で技能実習生として働く外国人労働者の実態に迫ったドキュメンタリーのような作品。実際に藤元明緒監督が実習生からのSOSのメッセージをネット上で受けて着想したという。
ベトナムから来た3人の女性たちは、搾取されていた職場を逃げ出し、雪深い港町へ。ブローカーに紹介料を支払い、粗末な小屋に寝泊まりして漁師の仕事を手伝う。
家族へ仕送りし、節約して貯金し、幸せな結婚を夢見る3人。不法就労の露見におびえながら働く姿が、胸に迫る。
1時間28分。横浜のシネマ・ジャック&ベティで12日から上映。
!…「こんなはずじゃなかった。でも決めなければ」。切実なせりふに現実感がある。
【湖底の空】自在な人物造形
【2021年6月11日紙面掲載】
中国・上海でイラストレーターとして暮らす空。双子の姉に当たり、弟の海(かい)がいる。海は性別適合手術を受けて女性となり、今では海(うみ)と名乗っている。
2人が育ったのは大きな湖のある韓国の田舎町。父は日本人で、母は韓国人だ。絵本への挑戦を勧める出版社の日本人男性に好感を抱いた空だが、「私は海」だと打ち明ける―。
日本、韓国、中国と国境を越えた自在な人物造形と風景がユニークな世界観を生み出している。
佐藤智也監督。1時間51分。新宿K’s cinemaで12日から、横浜シネマリンで近日上映。
!…韓国の俳優イ・テギョンが双子を熱演。アグネス・チャンも絵本作家役で出演。