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KAAT新芸術監督インタビュー
開かれた劇場へ(上)まだ見ぬ客と出会いたい

芸能 | 神奈川新聞 | 2021年4月23日(金) 15:46

KAATの芸術監督に就任した長塚圭史(左)と前監督の白井晃=横浜市中区

 ことし開館10周年を迎えたKAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)。コロナ禍の影響を受けながら、舞台芸術を未来へつなぐ新たな道を模索する。4月、白井晃(63)から芸術監督の座を引き継いだ長塚圭史(45)に、目指す劇場像を聞いた。

 「劇場を開く」。3月に開かれた就任会見で、自身が掲げるコンセプトを明かした長塚。開館以来築き上げられたKAATの実績に触れながら、「まだ演劇と出合ったことがない人にももっと見てもらいたい」と力強く語った。

 地域により開かれた劇場を実現しようと、三つの方針を打ち出す。

 一つは劇場に季節感をもたらす「シーズン制」の導入。4~6月を実験的な公演に挑むプレシーズンと位置付け、夏は恒例の「キッズ・プログラム」を開催、秋から半年間はメインシーズンとしてテーマに沿った企画をプログラムしていく。本年度のテーマは「冒」。「飛び出す、はみ出す、突き進む作品を、冒険心いっぱいにやっていきたい」

 シーズン制導入の狙いは劇場にリズムを生み出すこと。「季節ごとに変わる劇場の表情に注目してほしい。一つのリズムを持つことで、通りゆく人たちや周辺に暮らす人にも、ここの存在がより伝わると思うんです」

 劇場そのものを「開いていく」ことも方針の一つ。1階アトリウムに特設劇場をしつらえ、自らが演出する舞台「王将」(作・北條秀司)を上演する新たな試みのほか、「西遊記」をベースにした一作「冒険者たち」を引っ提げながら県内を巡演する「ツアープロジェクト」、創作現場の公開など、多彩な企画を練っている。

 アーティストがさまざまなアイデアを試行する「カイハツ」と称したプロジェクトも立ち上げる。「作品が上演されていない時でも、演出家や役者が中でぐつぐつと熱を持ってクリエーションしている。そんな劇場でありたい」。こうした豊かな創作環境が劇場の未来につながると話す。

 2014年にアーティスティック・スーパーバイザー、16年に芸術監督に就任した白井は、「若い劇場」だったKAATに強い発信力を持たせようと先鋭的な企画を数多く打ち出した。19年には主催公演が過去最高の入場者数を記録。KAATは名実ともに演劇界で注目される存在となった。

 「認知度を上げてくれたこの財産があるからこそ、次のアプローチができるようになった」と長塚は言う。他の劇場同様、公演の中止や延期といったコロナによる打撃を受ける中で、観客と向かい合う劇場の価値をあらためて実感。だからこそ、「演劇を知らない人にその魅力を伝えたい」との思いを一層募らせる。

 「芸術監督が代わることは劇場が動いていくことを意味する。まだ見ぬお客さんと出会うため、新たな時代に対応しながら、より開かれた劇場を目指していきたい」(服部 エレン)

◆ながつか・けいし 1975年生まれ。劇作家、演出家、俳優として幅広く活躍。96年、早稲田大在学中に演劇プロデュースユニット「阿佐ケ谷スパイダース」を旗揚げ。2011年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、17年には新ユニット「新ロイヤル大衆舎」を結成する。19年4月にKAAT芸術参与、21年4月に芸術監督就任。

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