9日から横浜ブルク13などで上演。
主役を引き立て、かつ見る者の印象に残る名脇役「バイプレイヤー」たちが出演し話題を呼んだ、テレビ東京のドラマの劇場版。田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一(写真左から)を中心に100人の役者が実名で登場する。映画やテレビドラマに情熱を注ぐ役者たちの、芝居愛にあふれた楽しい作品に仕上がっている。
富士山の麓にある撮影所「バイプレウッド」は民放各局の連続ドラマや映画の撮影でにぎわっていた。濱田岳、柄本時生、菜々緒、高杉真宙、芳根京子ら若手の役者たちは自主映画「月のない夜の銀河鉄道」の製作に取り組むが資金不足のため撮影は難航。車掌役で参加してくれた役所広司からのプレッシャーを感じる監督の濱田は事あるごとに監督風を吹かせ、菜々緒らは濱田組を降りてしまう。
重要なシーンとなるSLでの撮影もできなくなり、落ち込む濱田。別のスタジオでドラマを撮影していた田口らベテラン俳優陣は、濱田の思いに触れ、手を差し伸べる。そんな中、バイプレウッドが外資系の動画配信会社に買収される話が持ち上がっていた。
ネット配信ドラマに押されがちな、日本のテレビドラマ、映画にエールを送る作品。映像を作るチームの一員である、俳優たちの熱い心意気が描かれている。ドラマを愛し、2018年に亡くなった大杉漣もさりげなく登場。制作陣の思いが伝わる。(太田 有紀)