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笑福亭羽光、独自の新作落語で注目 創作の源は「不安感」

芸能 | 神奈川新聞 | 2021年2月12日(金) 11:32

22日に共演する後輩・瀧川鯉丸は「本格派江戸落語の逸材」。「後輩たちには今後、コンテストで勝ち抜くコツや新作落語の作り方を伝えてあげたいと思っています」=東京都内(撮影・立石祐志)

 独自の新作落語で注目を集める笑福亭羽光(うこう)が22日、みどりアートパーク(横浜市緑区)の「みどり花形寄席」に登場する。落語芸術協会の二つ目ユニット「成金」メンバーで、昨年11月には2020年度NHK新人落語大賞を獲得した実力派。5月には真打ち昇進を控える羽光に、創作の源について聞いた。

 上方の古典落語も得意とする羽光だが、NHK新人落語大賞を受賞したのは自作の「ペラペラ王国」。祖父が孫を寝かしつけるため「会社員時代に部下と雪山で遭難した話」を始めるが、その回想シーンの中で部下が眠らないよう「昔デートした時の話」を始める…という入れ子構造で、やがて孫は自分のいる世界も誰かの「お話」ではないかと疑い始める。「誰でも、自分以外は全部つくりものじゃないかと想像したことがあると思う。生活圏外はすべてベニヤ板でできたセットかもしれないよという意味で『ペラペラ』という単語を使ったんです」と明かす。「この世界もどうせ虚構かもしれないのだから、適当に行きましょうよというメッセージを込めています」

 多層構造の行き来を分かりやすくするために上方落語特有の「見台(けんだい)」を活用、目線を工夫するなど古典落語の技も使った。「新しい落語を作る時にも伝統への敬意が必要。賞レースでポイントを稼ごうという下心もありました」とニヤリと笑う。

 1972年、大阪府出身の羽光は大学卒業後に上京。お笑い芸人や漫画の原作者として活動するも芽が出ず「すべてに挫折してボロボロになっていた時、誰も傷つかず、人間の業を受け入れてくれる落語に癒やされて」、2007年に笑福亭鶴光に入門した。

 修業時代の仲間たちと結成した「成金」では「うまい仲間と一緒にいることで成長できた」と振り返るが、自分のキャラクターを見つけるのに苦心したという。「親分肌の柳亭小痴楽、天才講釈師の神田伯山、不思議ちゃんの瀧川鯉八、本格派は桂宮治や桂伸衛門がいるから、自分はエロキャラ。でも下ネタを好まないお客さんもいるし、今はキャラクターに縛られず、大好きなSFの要素も取り入れながら創作をしています」

 東京を拠点に上方落語を演じることで自分のアイデンティティーに悩んだこともあるというが「小説家のカフカも、ドイツ語圏で自分はチェコ人なのかユダヤ人なのか悩みながら『変身』『城』などの名作を生み出した。不安定さが客観性をもたらしてくれるし、創作意欲の源にもなっていると思います」と今ではそれを前向きに捉えている。

 真打ち昇進を控えた気持ちを聞くと「地味に、死なない程度に生きて行ければ」と笑うが「師匠の鶴光が73歳になっても積極的に新しいことに挑戦しているのを見ると、自分も変化し続けないとあかん、と思わされますね」と静かな決意をにじませた。

 「みどり花形寄席 その二」22日午後2時開演、全席自由、千円。チケットはみどりアートパーク、電話045(986)2441。

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