石田泰尚と﨑谷直人によるバイオリン・デュオ「DOS DEL FIDDLES(ドス・デル・フィドル)」が16日、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)で公演を行う。共に神奈川フィルハーモニー管弦楽団のソロ・コンサートマスターとして活躍する2人だが、ユニットとしては県内初のステージとなる。
﨑谷が石田を誘って2019年の秋に結成した同ユニットはこれまで、ピアニストの山中惇史と共に各地でコンサートを開催。「このユニットでは素の自分をさらけ出している」という2人が紡ぐ、伸びやかで研ぎ澄まされた音楽が観客の心を熱くさせてきた。10月には山中が書き下ろした楽曲「晴れのちケルト」を発表、12月16日には9月に行われたライブを収録したアルバムが発売される。
アルバムにはバルトークの「2つのヴァイオリンのための44の二重奏曲」などのほか、山中がアレンジしたフォスターの「金髪のジェニー」、アストル・ピアソラの「リベルタンゴ」などバラエティー豊かなプログラムを収録。「山中さんが優れたアレンジをしてくれていて、ガーシュウィンの『サマータイム』なども自分たちらしさが出た。今後はブルースやロックの楽曲にも挑戦したいですね」と話す﨑谷。ウェールズ弦楽四重奏団のメンバーとしても活躍し、日本の室内楽をけん引する演奏家の一人だが「弦楽アンサンブル『石田組』など多様なアプローチでたくさんの人を楽しませている石田さんを見ていて、自分も表現の幅を広げたくなった。このユニットでは、クラシック音楽ファンだけでなく、普段バイオリンの演奏を聴かない人にもかっこよくてきれいだと思ってもらえる演奏を届けていきたいです」と意欲を語る。
「内にこもるようにして真面目に音楽を磨き上げていく弦楽四重奏と、このユニットは方向性が違う。﨑谷さんが舞台ではじける一面を見ることができてうれしかったし、面白いじゃんと思いました」と笑みを浮かべる石田。「コンサートマスター2人のユニットは珍しいし、今後は全国各地で演奏したいですね」と語る姿に、﨑谷も「このユニットの展開が、神奈川フィルの注目度や魅力にもつながれば」とうなずく。
多くの演奏会が中止になった今年を「地獄のようでした」と振り返る﨑谷。ベートーベンの弦楽四重奏全曲録音に取り組んできたウェールズ弦楽四重奏団の活動も国内外から高く評価され、来年はさらに注目を集めそうだが「石田さんと活動することで表現欲求が膨らんできた。自分らしく、新しい表現にも挑戦していきたい」と今後を見据える。石田も「来年は、今年開催できず延期になったベートーベンのコンサートに気合を入れて取り組みたい。生誕100年を迎えるピアソラの曲を演奏する機会も増えそうで楽しみです」と新年への期待を込めた。
「みなとみらいアフタヌーンコンサート2020後期<DOS DEL FIDDLES>石田泰尚&﨑谷直人デュオ・リサイタル」午後1時半開演、全席指定5千円。チケットは神奈川芸術協会、電話045(453)5080。※残席僅少
ドス・デル・フィドルが横浜で県内初ステージ
-
CDアルバム「DOS DEL FIDDLES-LIVE-」16日発売、3300円 [写真番号:432422]
-
「お笑い好き」を公言する石田㊨。「お笑いも音楽も『間』が大切なんです」と力説。崎谷も「ソロやデュオが単体でのネタ披露なら、大人数の中で自分の音を出すオーケストラは『ひな段』ですね」と声を合わせた=横浜市内(撮影・立石祐志) [写真番号:432423]