20日からTOHOシネマズららぽーと横浜などで上映。
「一国二制度」が敷かれ、民主化抑圧に対する抵抗運動など摩擦が生じている中国本土と香港。教育制度にも違いがあり、中国本土に居住しながら香港の学校で学ぶ学生も多いという。そんな「越境通学」をする主人公が、自らのよりどころを探し求める姿を描く。長期間の取材を通して若者たちの生きざまを見つめ、今日的なテーマを描こうとした監督の誠実さが伝わる。
香港出身の父と中国大陸出身の母の元に生まれた16歳の高校生ペイ(ホアン・ヤオ)=写真中央=は、毎日深圳から香港の高校に通っている。父と母は別居しており、ペイが心を許せるのは香港在住の親友ジョー(カルメル・タン)=同左=だけだった。
富裕層家庭のジョーと北海道に行くためアルバイトに励むペイはある日、香港と深圳の間で密輸グループのトラブルに巻き込まれる。香港には関税の優遇措置があるため、電子機器やブランド品を中国大陸へ密輸する犯罪が横行し、警察が目を光らせていたのだ。しかし高額報酬に引かれたペイは、ジョーの彼氏ハオ(スン・ヤン)=同右=のつてで密輸グループに入り、メンバーやハオとの絆を強めていく。
あらゆる場面が美しく、ロケ地や色彩へのこだわりが感じられる。若者の友情と恋愛を描く青春映画という形をとってはいるが「安心できる居場所」を希求する全ての人に訴え掛ける、完成度の高い作品。
監督/バイ・シュエ
製作/中国、1時間39分