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【シネマ散歩】
【ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ】尊厳を取り戻すよりどころ

芸能 | 神奈川新聞 | 2020年10月2日(金) 16:02

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 9日から横浜ブルク13などで上映。

 映像、音楽、人物描写のどれもが美しい映画だ。変わりゆく町の中で、心の居場所を求めて悩みもがく黒人男性の姿が丹念に描かれる。

 米西海岸の大都市サンフランシスコで育ったジミー(ジミー・フェイルズ)=写真左=は、幼少期に家族と暮らしたビクトリアン様式の家を愛していた。祖父が建てたと信じるその家を再び手に入れようと奔走するが、幾度も厳しい現実が立ちはだかる。

 舞台のフィルモア地区はかつて日系人コミュニティーが栄えた場所。第2次世界大戦を機に日系人は立ち退き、やがて大勢の黒人が住むようになった。しかし、都市開発などによって住宅価格が高騰。貧しい住民は町を去らざるを得ない選択を強いられていく。

 郊外にある友人のモント(ジョナサン・メジャース)=同右=宅に身を寄せるジミーもまた、町の片隅で生きる一人だ。待てど暮らせどバスが来ない辺ぴな地。「俺は若いし黒人で金はない」。力なく笑うその表情と言葉から、生まれ故郷にすら疎外感を覚えるやるせなさがにじみ出る。渇望するその家は、彼が尊厳を取り戻せる唯一のよりどころだった。

 町を包む温かな色合いが鮮やかで美しい。信頼でつながるジミーとモントの友情もじんわりと染みる。2人が颯爽(さっそう)と駆け抜ける冒頭から詩的なラストまで、心に刻まれるシーンにあふれた名作だ。

監督/ジョー・タルボット
製作/米国、2時間

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