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日本将棋連盟指導棋士五段、本紙将棋担当記者
将棋のはなし(160)主観を押し付けないように

文化・科学 | 神奈川新聞 | 2020年6月4日(木) 19:11


【2020年5月31日紙面掲載】

 将棋大会で教え子が準優勝した時、それが格上を何人も倒した実力以上の快挙に思えても、気軽に「おめでとう」とは言わない。まず「うれしいか悔しいかどっち?」と聞くことにしている。優勝以外であれば、満足かどうかは本人が決めるべきだと思うからだ。

 中学時代、好きになれない教師がいた。その先生は定期テストを返却する際、いつも黒板に上位5人だけ点数と名前を書いて発表していた。ありがちな演出であろう。

 私は大抵1位か2位だった(本当です)が、これが嫌だった。友人に「英語は35点(これも本当)なのにすごいね」と言われるからではない。

 例えば「90点で2位」だとしても、本人が喜んでいるとは限らない。100点を確信していたのに凡ミスで減点されたのであれば、反省材料にしかならないだろう。相対評価で勝手に点数を公開するのはおかしい。

 当時から理屈バカだったので「名前を書かれない人は5位より点数が低いと分かってしまう」という主張も付けて抗議したが、相手にされなかった。扱いづらい生徒だったのは分かるが、間違ってはいなかったと思う。

 振り返ればこの頃から、主観を押し付けてはいけないという意識が強くなった。いい反面教師だったかもしれない。

 在宅ワークだとネタが浮かばないので、昔話に無理やり将棋をつなげてみた。最近は「主観を押し付けてはいけない」という主観を押し付けないように気を付けている。

 
 

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