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マスコミ・セクハラ白書
メディア業界のゆがみ

文化 | 神奈川新聞 | 2020年3月13日(金) 12:22

WiMN(メディアで働く女性ネットワーク)編著文藝春秋/1760円
WiMN(メディアで働く女性ネットワーク)編著
文藝春秋/1760円

 「子どもはまだか、作り方は知ってるか」「取材先と寝てでもネタを取れ」「キスしたい」─。次々と明かされる加害の実態が、メディア業界の深刻なゆがみを物語る。

 本書を手掛けたのは、財務省幹部からセクシュアルハラスメントを受けた女性記者を孤立させまいと2年前に発足した、メディアで働く女性たちのグループ。25本の体験談と9本の時事コラム、メディア各社へのアンケートで構成される。

 記されているのは、取材先の公権力や同業者から受けたセクハラ、性暴力の数々。「空気のように存在する業界の性差別」をなくしたい一心で立ち上がった女性記者らが筆を執った。多くは1対1でインタビュー、執筆をし合っている。

 40代の記者は1990年代後半に新聞社に入社した。配属された支局に女子トイレはなく、同僚男性が用を足す背後を謝りながら通り、男子トイレの個室を使った。

 たかがトイレではない、と彼女は言う。「生理現象が否定されるのは、人間として辛い。自分が『若い女』であることが全否定され、罪だとさえ感じた」

 男社会が前提の業界で、男性以上に結果を出さなければ女性記者は認められない。弱音を吐いては一人前と見なされない─。プレッシャーの中、日常化する性差別に声を上げる選択肢を持ち得なかった女性の葛藤が多くのページから浮かび上がる。

 立派な権力批判や社会的弱者に寄り添った記事を書くその裏で、目の前の女性をためらいもなく踏みつける男性記者がいる。社会に染みついた女性蔑視はあまりにも根が深い。

 屈辱、後悔、失望、怒り。何度も押し殺してきたであろうそれぞれの感情が、つづられた一つ一つの言葉から迫り来る本書には、業界に身を置く誰もが直視すべき現実がある。無関係だと傍観するか、今この瞬間にあしき体質を断ち切るか。彼女たちの告発が、切実に問い掛ける。

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