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ひとりひとりの「性」を大切にする社会へ
「中の人」は同じなのに

文化 | 神奈川新聞 | 2020年3月13日(金) 12:18

遠藤 まめた 著新日本出版社/1650円
遠藤 まめた 著
新日本出版社/1650円

 「女の子らしくおしとやかに」「男の子なんだから泣かないの」。「女性、男性はこうあるべき」という窮屈な枠の押し付けは、社会のあちこちに存在する。

 女性として育てられ、自身を「どちらかといえば男性」と認識するトランスジェンダーの著者はその実態を身をもって知っている。セーラー服を脱ぎ捨て、男性として生き始めた高校卒業後の経験が本書にはつづられる。

 「それまで女だと思われているときには『やめなさい』とか『おかしい』と言われていたことの多くが、男だと解釈されるようになると、OKになった」

 それは話し方であったり、座る時に膝をそろえないことだったり。自炊をしているだけで絶賛されたこともある。女は料理ができて当然だが、男は違う。性別に基づくそんな決め付けが行間ににじむ。

 「中の人」は変わっていないのに、なぜ接し方が異なるのか─。望んでいた「男扱い」を前に、著者は立ち止まって自問する。「これは手放しで喜んでいいことなのか」と。

 自身の体験のみならず、多様な性や性的少数者にまつわる話題を掘り下げた本書はまた、特有の差別に直面するトランスジェンダー女性の苦難に向き合う。

 著者は言う。生物学的女児がサッカーボールを蹴っても誰も問題視しないが、お姫様ごっこをする男児を社会は放っておけない。男性として生まれ、女性として生きるトランス女性の中にはそんな幼少期を経ながら、奇異な視線を浴びて排除されていく人がいる。ここにもやはり「枠」の押し付けが立ちはだかる。

 「そもそも俺が男だろうが女だろうが、座り方やかばんの持ち方を指図される筋合いはなかった」。著者が自らを問うた先につかんだ答えが鋭く光る。そう、誰もが自身の在り方を否定されるいわれはないのだ。

 全ての人が多様な性の当事者だと本書はうたう。読者の視野をぐっと広げてくれる必読の書。

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