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県立近代美術館鎌倉別館
独自の宗教観に基づいた油彩画 関根正二回顧展

文化 | 神奈川新聞 | 2020年3月2日(月) 20:35

鮮やかな色彩の作品が並ぶ一角=県立近代美術館鎌倉別館
鮮やかな色彩の作品が並ぶ一角=県立近代美術館鎌倉別館

 わずか5年間の創作期間を駆け抜け、20歳で亡くなった洋画家、関根正二(しょうじ)(1899~1919年)。生誕120年、没後100年を記念する回顧展が、県立近代美術館鎌倉別館(鎌倉市雪ノ下)で開催中だ。代表作「信仰の悲しみ」など約80点と資料、関連する画家たちの作品が並ぶ。独自の宗教観に基づいた鮮やかな色彩の油彩画は、時代を超えて見る者に迫ってくる。

 福島県に生まれた関根は9歳で上京し、家族と共に下町の深川で暮らした。後に美人画で知られる日本画家の伊東深水が幼なじみ。深水との出会いにより、関根は画家を志すようになったという。

 1915年には、無銭旅行に出かけた長野県で洋画家、河野通勢(こうのみちせい)に出会う。画壇デビュー作となった二科展の初入選作「死を思う日」は、茶色い空の下、うねる木々の間をうつむいて歩く男が描かれる。河野の画風の影響が強く見られるが、あえて荒く残した筆の跡が印象的だ。

 17年の「少年」では、一転して「関根のバーミリオン」と称賛される鮮やかな朱色やそれと対照的な青色といった色彩の対比が目を引く。少年の横顔は描き込まれているが、肩や赤い花を持つ手などは未完成のように仕上げられている。


デッサンや油彩など関根正二の作品が一堂に会した=県立近代美術館鎌倉別館
デッサンや油彩など関根正二の作品が一堂に会した=県立近代美術館鎌倉別館

 100年ぶりに発見されたパステル画「少女」も華やかな色彩で、色白の肌やカールした髪は異国の女性を思わせる。

 姉に背負われた幼い子どもの顔に自画像を重ねた「姉弟」や、姉と自分、失恋相手の女性を描いたとされる「三星(さんせい)」も濃い色彩が特徴的だ。同館の三本松倫代学芸員は「密度の濃い人物に比べて、手前の花はラフに描くといったバランス感覚が面白い」という。

 「信仰の悲しみ」は、手術した蓄膿(ちくのう)症の回復が思わしくない中で、東京・日比谷公園の公衆トイレから女性の群れが出てくる幻影を見て描いたとされる。沈痛な表情をした似たような風貌の女性たちが、花や果物を持った両手を前にして歩いている謎めいた作品だ。同作を描いた翌年、結核で死去。

 三本松学芸員は「神や祈りといった描写があるが、何を神と考え、聖と捉えていたのか、よく分からないところがある。大正期の早世した画家として分かった気になってしまうが、同世代には前衛芸術に取り組んだ村山知義や東郷青児らがいた。もう少し生きていたら、どんな絵を描いていただろうか」と話した。

 「関根正二展」は22日まで。月曜休館。一般700円ほか。問い合わせは同館☎0467(22)5000。

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