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神奈川フィルの定期演奏会で披露
作曲家・伊藤康英氏に聞く「ぐるりよざ」に込めた思い

文化 | 神奈川新聞 | 2020年2月28日(金) 19:26

今月「ぐるりよざ」吹奏楽版の楽譜も発売された。「学生たちには、自分たちが曲を通して言いたいことを思い切り表現しなさいと伝えています」=洗足学園音楽大学(撮影・立石祐志)
今月「ぐるりよざ」吹奏楽版の楽譜も発売された。「学生たちには、自分たちが曲を通して言いたいことを思い切り表現しなさいと伝えています」=洗足学園音楽大学(撮影・立石祐志)

 神奈川フィルハーモニー管弦楽団は4月11日、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)での定期演奏会で「管弦楽のための交響詩『ぐるりよざ』」を演奏する。洗足学園音楽大学教授で作曲家の伊藤康英による作品で、当初は吹奏楽曲として作曲された。今年は初演から30年目の節目。伊藤に、この曲に込めた思いについて聞いた。

 1990年、海上自衛隊佐世保音楽隊の委嘱を受けて伊藤が作曲したのは、鎖国時代の長崎の隠れキリシタンの文化に着想を得た作品だった。命の危険にさらされながら、厚い信仰心で彼らが歌い継いできた音楽をモチーフとして使用している。「ぐるりよざ」とは、長崎県生月島(いきつしま)に伝わるキリスト教の聖歌〝Gloriosa(グロリオサ)〟が訛(なま)った言葉だ。

 聖歌をモチーフとした荘厳な第1楽章「祈り」から始まり、「さんじゅあん様のうた」が元になった第2楽章「唄」では和楽器の龍笛が美しい音色を響かせる。第3楽章「祭り」では「長崎ぶらぶら節」の旋律と太鼓のリズムが人々の生命力を感じさせるドラマチックな作品で、聴く者の心を強く震わせる。

 日本のみならず世界中で演奏されているこの作品について、伊藤は「とても大切な作品」とかみしめるように語る。「海外の吹奏楽関係者にも、自分の名前を知ってもらえた作品。鎖国時代に西洋音楽が日本に伝わっていたということに想像力を刺激されたのを覚えています。今回、日本の吹奏楽発祥の地と言われる妙香寺(横浜市中区)がある横浜で、この曲が演奏されるのは意義深く、ありがたい事だと思っています」

 この作品の管弦楽版を編曲するにあたり「管弦楽器の音色をかぶせるだけにはしたくなかった」という伊藤は、管弦楽版の初演に納得がいかず、2回の改訂を行っている。「オーケストラならではの響きが生きる色彩を出したかった。全体的に工夫を加えていますが、特に第2楽章は吹奏楽版よりも50小節ほど長くなっています」

 今回の演奏会は「祈り」がテーマ。「ぐるりよざ」のほかに、別宮貞雄の「管弦楽のための2つの祈り」、ストラビンスキーのバレエ音楽「春の祭典」も演奏される。指揮は常任指揮者の川瀬賢太郎。「とても魅力的なプログラム。川瀬さんがこの曲を指揮するのは今回で3回目。円熟を重ねて、どんな演奏になるかとても楽しみです」と伊藤。吹奏楽のみならず、管弦楽やオペラも数多く手掛けてきた作曲家として「吹奏楽愛好者が今回の『ぐるりよざ』を聴くことで管弦楽に興味を持ったり、オーケストラのファンが吹奏楽の楽曲も面白いなと思ったりしてくれる機会になるとうれしいですね」と期待を込めた。



 午後2時開演、全席指定、S席6千円など。チケットは神奈川フィル・チケットサービス☎045(226)5107

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