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障害あっても、一緒に収穫体験を 横浜のイチゴ園の挑戦

文化・科学 | 神奈川新聞 | 2023年1月19日(木) 18:00

さまざまなイチゴの味比べを楽しんでもらおうと、全10品種をハウス内で栽培。品種は「ベリーポップ すず」「ベリーポップ はるひ」「よつぼし」「おいCベリー」「もういっこ」「やよいひめ」「紅ほっぺ」「かおり野」「章姫」「恋みのり」

 障害児者にイチゴの収穫体験を楽しんでもらいたいー。この思いを胸にイチゴ園を立ち上げた元看護師の夫婦がいる。横浜市出身の市村渉さん(40)と妻の杏子さん(40)。昨年12月、「ichigos YOKOHAMA」(横浜市戸塚区)を戸塚西公園の隣にオープンし、福祉従事者らから問い合わせが増えている。

「誰もが一緒に楽しめるイチゴ園にしたい」と、看護師の資格を持つ市村夫妻が二人三脚で運営している

 2人は勤務先だった東京都内の大学病院で出会い、結婚。30歳のとき、杏子さんの実家のイチゴ農家を手伝うため、宮崎県に移り住んだ。

 横浜市に戻ってきたのは2020年。渉さんの母親が亡くなり、新型コロナウイルス禍の中、父親が実家で1人暮らしになったことがきっかけだった。

ハサミでイチゴを摘み取る様子

 当初は看護師に復職しようと考えていたが、宮崎県の農業関係者に「イチゴ園をやった方がいい」と背中を押され、県内で開園を決意。しかし、希望に沿う農地が一向に見つからず、渉さんは滋賀県で知人が始めたイチゴ園で指導者として尽力。その間、杏子さんは福祉施設「横浜市多機能型拠点 郷(さと)」に勤務し、医療的なケアが必要な重症心身障害児者の看護に携わった。これが転機となった。

 「外出の機会が限られる障害児者とその家族が安心して利用できるイチゴ園をつくろう」。渉さんも滋賀県から戻り、同施設に勤めながら開園の準備を進めた。

通路幅は約1・5メートルを確保し、ベビーカーや車椅子、障害者を乗せたストレッチャーなども余裕を持って通ることができる

 市村夫妻が導入した栽培設備は、つり下げ可動式のスペイン製。上下に動く栽培棚は宙に浮いた状態のため、バギー型の大きな車いすでも無理なく移動できる。「口から食べられない人は、イチゴをミキサーで液状にして鼻や胃から体内に注入するなど、できる限り、収穫体験を楽しむ方法をご家族と一緒に考えたい」と話す。

 さらに今後は、病院や福祉施設を対象にした“出張いちご狩り”のサービスも展開したいという。「より多くの人が笑顔になれる工夫を凝らしていきたい」。市村夫妻の挑戦は始まったばかりだ。

ichigos YOKOHAMA(イチゴス・ヨコハマ):横浜市戸塚区深谷町987の1。戸塚西公園隣。戸塚駅、大船駅などからバスで横浜薬大南門下車9分。原則駐車不可だが送迎車などは応相談。午前10時~午後4時(最終受け付けは同3時)。月・金曜休み(臨時開園あり)。電話070(8555)9871。▷イチゴの収穫体験:高校生以上2900円、小中学生2500円、3~6歳1500円。障害者はいずれも1000円引き(要証明)。2歳以下無料。40分制。完全予約制で、電話または同園HPから受け付ける。飲食持ち込み可。新型コロナウイルスの感染対策として、ハサミを使って収穫し、テーブル席に持ち寄って食べるスタイルを採用。

※魚介類や野菜など生鮮食料品の価格・種類は、水揚げ量や収穫量、天候などの影響で変動します。

2023年1月19日公開 | 2023年1月19日神奈川新聞掲載

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