「もう、何年も前から気になっていたのですが」という疑問が、横浜市南区の男性会社員(53)から「追う! マイ・カナガワ」取材班に届いた。伊勢佐木町(横浜市中区)の有隣堂本店にある絵が「作者名もタイトルも見たところありません。どんな経緯で飾られたのかも気になります」という。“ハマっ子の本棚”とも言える有隣堂本店に掛かる絵の正体は?
謎の絵があると聞き、文化部で美術を担当して10年になる下野記者が、有隣堂本店に足を運んだ。正面玄関を入って左側、高い位置の壁に、確かに大きな絵が飾ってある(写真【1】)。
全体的にくすんだ茶系の画面。右側に足を交差した人物、左にはテーブルと椅子。テーブル上に丸い花瓶、白いポット、果物、魚の載った皿などが並ぶ。テーブルは真上からの視点だが、ポットは横から。人物も簡略化された線で描かれている。20世紀初頭に流行したキュービズムと呼ばれる前衛美術に特徴的な表現で、ピカソの作品が有名だ。
「トチオウ」?
横浜・有隣堂本店に謎の絵(上)手掛かりはTociau
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有隣堂本店に飾ってある謎の絵 [写真番号:832021]
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サインは「Tociau―’53」 [写真番号:832022]
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大佛次郎夫妻が訪れた1970年代の有隣堂ギャラリーの様子 [写真番号:832023]
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小関利雄「佛家族」(1981年、県立近代美術館蔵) [写真番号:832027]