【2021年7月30日紙面掲載】
20世紀を代表する美術家の一人、イサム・ノグチ(1904~88年)。舞台芸術など幅広い分野で活躍したが、核となったのは彫刻家の活動だった。石に最小限の手を加えるという、晩年の独自の石彫に至るノグチの「発見の道」を、約90件に及ぶさまざまな作品を通してたどる。
「あかり」シリーズは、岐阜ぢょうちんから発想を得て取り組んだライフワークで、和紙を通した柔らかな光そのものを彫刻とした。150灯もの「あかり」による大規模なインスタレーションを中心にした回遊式の展示は、彫刻と空間は一体だというノグチの思想を体現している。
ニューヨークと合わせて制作拠点だった高松市牟礼(むれ)町に残る最晩年の石彫は「石の庭」として展示。自然環境と彫刻が呼応しながら存在する牟礼の野外アトリエをほうふつとさせる。
東京都美術館:8月29日まで。2、9日を除く月曜休館。一般1900円ほか。日時予約を推奨。問い合わせはハローダイヤル03(5777)8600。