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そごう美術館で「近代日本洋画の名作選展」

文化・科学 | 神奈川新聞 | 2021年6月21日(月) 18:24

安井曾太郎の代表作「画室」や貴重な木炭デッサンを展示する一角=そごう美術館

 横浜駅東口のそごう美術館で「近代日本洋画の名作選展 ひろしま美術館コレクション」が開催中だ。広島市にある私立美術館の所蔵作品から約70点を展示し、明治以降の近代日本における西洋文化の受容の歴史に改めて光を当てる。

 明治初期にはイタリア人画家に指導を受けた浅井忠や小山正太郎が活躍し、明治20年代以降には黒田清輝が登場した。明るい色調を持つ黒田の絵画は画壇の中心として受け入れられ、東京美術学校西洋画科の教授を務めるなどし、「近代洋画の父」とされた。同展では、黒田のフランス留学時代の作品「洋燈と二児童」(1891年)などを展示している。

 自由な雰囲気が社会にあふれた大正期の洋画壇では、自己表現を追求した岸田劉生の肖像作品「支那服を着た妹照子像」(1921年)など、個性的な写実表現の深まりを感じられる作品が並ぶ。そごう美術館の大塚保子主任学芸員は「劉生にとって、写実とは自分の内面を掘り下げることでした」と解説する。

 昭和期に入ると、日本の油彩画の独自性が一層強まった。アトリエを訪れた妻子とおいが、モデルと共に記念写真のように描かれている安井曾太郎の代表作「画室」(26年)は、着衣人物と裸婦という不自然な取り合わせだが、画家という仕事を包み隠さずリアルに示そうとする安井の意図が感じられる。貴重な木炭デッサンも展示されている。

 明治から昭和にかけての裸体像の変遷も見どころの一つだ。裸婦が背中を向けていたり、布や花と共に描いたりと、日本で裸体画を受け入れやすくするための工夫が随所で見られる。

バラを題材に選ぶ画家も多く、2作品を対比して展示する一角もある

 近代日本洋画にはバラを題材にした作品も多い。真鶴町にアトリエを構えた中川一政もバラを好んだ一人で、画面からはみ出しそうな大輪など勢いのある作風が特徴だ。一方で素朴な花や野草を好んだ熊谷守一の作品では、黄色いバラを花の裏側から描くという、珍しい構図が目を引く。

 大塚主任学芸員は「油彩という新しい技法により、日本独自の感性を守りながらさまざまに展開した日本洋画の黄金期の作品を、この機会にぜひ見てほしい」と話している。

 7月4日まで。一般1200円、高校・大学生千円、中学生以下無料。問い合わせは同館、電話045(465)5515。

 
 

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