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横浜市立大が作家・田山花袋ら著名作家の姿確認

文化 | 神奈川新聞 | 2021年6月21日(月) 18:11

フィルムに収められた田山花袋の姿(郡山市提供)
晩年は鎌倉で過ごした久米正雄(郡山市提供)

 横浜市立大(横浜市金沢区)は5月、福島県郡山市が保有する映像フィルムを修復・調査した結果、作家の田山花袋(かたい)や久米正雄ら作家の姿が確認されたと発表した。同大と同市が締結した「こおりやま文学の森資料館所蔵フィルム修復に係る協定」に基づく調査によるもので、田山の映像資料が確認されたのは初めてだという。

 フィルムはいずれも久米が撮影したとされているもので、1998年に久米の親族から同市が購入した18本のうちの2本。同大で日本近代文学の研究を行う庄司達也教授らのグループが分析を行い、フィルムの修復は、ヨコシネディーアイエー(横浜市神奈川区)が担当した。26日、同大金沢八景キャンパスと郡山市役所をオンラインで結んで行われた報告会では、約100年前に撮影された2本の映像が公開された。

 「フィルム№2」は約50秒で、24(大正13)年4月24日、川崎市高津区で撮影されたもの。出版社が企画した、作家らの遊行を久米が撮影したものとみられ、現在の東急田園都市線二子新地駅付近の多摩川河畔を背景に、笑顔を浮かべる作家たちの姿が確認できる。この遊行には久米と田山のほか里見弴(とん)、岡本一平らが参加した記録が残されており、当時の文学者たちの交友関係をうかがわせる。

 約16秒の「フィルム№9」も同年夏ごろ、東京都世田谷区側の多摩川河畔で撮影されたものと推察され、屋形船に乗り込む男女の姿が映っている。久米とみられる姿もあるが、詳細は不明だ。

 「生き生きとした作家たちの姿が残された楽しいフィルム。田山の映像が初めて確認されたのは近代文学史上でも記念すべきこと」と庄司教授。家庭用フィルムが貴重だった時代、積極的に動画撮影を行っていた久米や当時の表現者たちについて「新しいメディアとの出合いが、作家たちの表現行為にどのような刺激を与えたのか。今後、一層研究を進めなければならないという宿題をもらったような思いだ」と語った。今後も郡山市と協議を行いながらフィルムの研究を進め、資料の活用方法を検討していくという。

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