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色鮮やかな錦絵で伝える明治期の熱気 県立歴史博物館で展覧会

文化 | 神奈川新聞 | 2021年5月18日(火) 18:26

明治の出来事が年代順に並ぶ=県立歴史博物館

 明治の歴史的事件や文明開化の風景を描いた錦絵によって、近代日本の歩みを振り返る展覧会「錦絵(ビジュアル)にみる明治時代」が、県立歴史博物館(横浜市中区)で開催中だ。有名から無名まで多くの絵師が手掛けた色鮮やかな世界を通して、大きく時代が動いた明治期の熱気が伝わってくる。

 同館所蔵品の核となっている丹波コレクションによるもので、横浜で貿易商として活躍した丹波恒夫(1881~1971年)が収集した約千点の錦絵から、明治期の近代国家成立に関わる出来事や文明開化を題材にした作品が、前後期で約130点ずつ並ぶ。

 展示は大きく二つに分かれる。一つは事件や出来事を時系列に追う年代記。もう一つは描かれたモチーフに焦点を当て、新時代を感じさせる建築様式や当世風俗を紹介している。

 この時期に最も多く錦絵に描かれた人物は、明治天皇だという。天皇の姿を国民に知らしめて、人心を掌握することに錦絵が利用され、各地への巡幸の様子はその都度詳細に描かれた。

 内国勧業博覧会に皇后や皇太子とそろって出席する天皇の姿は、実際にはそうした場がなかったにもかかわらず、理想的なリーダー像を演出。皇后や女官たちは和装から華やかな洋装で描かれるようになり、近代化を象徴した。

 西南戦争や日清戦争といった戦地の様子が描かれることも多く、錦絵がニュースとして報道性を帯びた面を示す。人々の関心は高く、出版数も多かった。

文明開化の風俗を描いた錦絵は色鮮やかだ=県立歴史博物館

 だが、必ずしも事実を描くとは限らなかった。西南戦争を題材にした錦絵には、本営にいたはずの西郷隆盛や架空の人物が派手に戦う姿を描いたものがあり、人々の求めに応じた売れるための構図作りがなされていたと推察される。

 近代化する街並みは画題になりやすく、石造りの建物が並んだ銀座や鉄橋に架け替えられた吾妻橋といった東京の都市風景が鮮やかな色彩で描かれた。奇妙なことに空の色が赤い作品が多く、こうした深紅の輸入染料を使った錦絵は「赤絵」と呼ばれた。

 同館の桑山童奈(どな)主任学芸員によると、同コレクションは明治生まれの丹波が「だんだん忘れ去られていく明治のことを知ってほしい」との思いで収集したという。そこには、近代国家の建設に尽力した先人たちへの敬意が込められていた。

 桑山学芸員は「明治にもこんな面白い浮世絵があったのか、と感じられる作品が多い。少し漫画的な部分もあり、現代の人にとって親しみやすいのではないか」と話した。

 23日まで前期。26日から6月20日まで後期。全て展示替え。月曜休館。オンラインによる日時予約制で、一般600円ほか。問い合わせは同館、電話045(201)0926。

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