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文化部員の体験記です。
創立150周年記念の「百人一首」 フェリス女学院大が出版

文化 | 神奈川新聞 | 2021年5月7日(金) 16:58

杉﨑愛さんによる現代風の在原業平のイラスト

 2020年に創立150周年を迎えたフェリス女学院大(横浜市泉区)が、記念として「和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首」(花鳥社、1760円)を出版した。未来へと残していきたい新しい百人一首を生み出そうと、文学部日本語日本文学科の教員と学生が、名歌100首を選び直したものだ。奈良時代から続く和歌、短歌の魅力を、現代に生きる女性の視点を交えて捉え直している。

 編集を担当したのは谷知子教授(61)と島村輝教授(63)。コロナ禍にあり、周年を記念して人が集まるイベントは行えなかったが「文化を発信する手を止めてはいけないとの思いが強かった」という。

馬場あき子さんの「石垣島万花(ばんか)艶(にほ)ひて内くらきやまとごころはかすかに狂ふ」に添えた杉﨑愛さんのイラスト

 昨年6月、両教授と学内で公募した学生によるプロジェクトチーム「フェリス和歌所(わかどころ)」を結成し、歌を選定。イラストを担う「絵所(えどころ)」も結成した。

 和歌所の榎田百華(えのきだももか)さん(当時4年)は、和泉式部の「もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出(い)づるたまかとぞ見る」を選び、解説を手掛けた。平安時代には、誰かを激しく思うと魂が体から抜け出てしまうとの考え方があった。目の前の蛍を“人魂(ひとだま)”と見間違えたと詠む背景には、苦しい恋に悩む女の情念がある。

 「きれいなイメージの蛍に、人魂という怖い見方をするのは現代の感覚にはない。一途な恋心に気持ちを重ねることができて、視野が広がった」と榎田さん。

 女心を蛍火に重ねる視点は、森進一さんの「北の螢」(作詞・阿久悠)に受け継がれていると指摘する。

「和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首」の表紙

 和歌所の栃原茅乃(とちはらかやの)さん(同)は、源実朝の「宮柱(みやばしら)ふとしきたてて万代(よろづよ)に今ぞ栄えん鎌倉の里」を選んだ。天皇と将軍、双方の繁栄を願っており「鎌倉の永遠と、民を守りたいという願いを、和歌の力に託そうとする東国の王の覚悟を見ることができる歌」と解説。

 栃原さんは「表舞台にあまり出て来ない実朝だが、将軍として必死に鎌倉を守り抜こうとし、歌にも素直に表している。実朝を通して鎌倉の違った景色が見えるかな、と思う」という。

 今年、4年生になった杉﨑愛さんは、絵所のメンバーとして腕を振るった。馬場あき子さんが石垣島で戦争の犠牲者を詠んだ短歌に添えたイラストは「華やかというより祈りの気持ちを表した」という。

取材に応じた(左から時計回りに)島村教授、榎田さん、杉﨑さん、谷教授、栃原さん=フェリス女学院大

 近代の短歌では、北原白秋や釈迢空(しゃくちょうくう)、佐佐木幸綱さんの歌などを掲載。「現代の視点からするとジェンダーバイアスが感じられるなど、別のものが見えてくるのではないか」と島村教授。

 和歌に関する基礎知識や読み物としても面白いコラムなども掲載し、和歌、短歌の魅力を余すところなく伝えている。

 谷教授は「若者のみずみずしい発想を通して、和歌や短歌ってこんなにいいんだなあと感じてほしい」と話した。(下野 綾)

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