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平塚市美術館の「川瀬巴水展」 コレクター収集品で全て構成

文化 | 神奈川新聞 | 2021年4月30日(金) 11:48

「暮れゆく古川堤」(左)を「お気に入り」と話す荒井寿一=平塚市美術館

 大正から昭和にかけて、詩情あふれる風景版画を多数生み出した版画家、川瀬巴水(はすい)(1883~1957年)。平塚市美術館(同市西八幡)で開催中の「川瀬巴水展」は、同市内在住のコレクター荒井寿一(67)による収集品で全て構成されている。現在、巴水の人気は高く、展覧会が各地で度々開かれるが、これまで紹介される機会がほとんどなかった雑誌の挿絵や本の装丁といった珍しい作品が並ぶ注目の展覧会だ。

 日本各地の風景を描いた初期から晩年までの代表的な木版画と、雑誌の表紙や挿絵、装丁本、絵はがきなど約300点が並ぶ。

 荒井は、同市内で1920年に創業した老舗で、中古車のオークションや食品流通を手掛ける荒井商事の会長を務める。

 約20年前、英国ロンドンのアンティークショップで巴水の風景版画「水木の曇り日」と出合い、収集を始めた。父は美術館を建てたいと口にするほどの美術好きで、自身も美術館巡りが好きだった。荒井は「遺伝子でしょうか」とほほ笑む。

 帰国後、巴水について調べ、「旅情詩人」とも称される巴水の魅力にのめり込んでいった。

 「専門家の間では知られていただろうが、当時、巴水は一般的ではなかった。人気のある今よりは競争相手も少なく、いいものがまだ市場に残っていた」と振り返る。

 平塚駅西口にあった古書店「万葉堂」は会社にも近く、版画に詳しい老店主にいろいろと教えてもらったという。

「すがた」の合本(手前の2冊)が並ぶ展示ケース

 風景版画家と認められる以前の巴水は、生活のためもあったのか、雑誌の挿絵や絵はがきのデザイン、本の装丁も手掛けていたと知ると、そうした作品をこつこつと収集してきた。今回の展示では、こうした作品や資料を初公開している。

 「すがた」は昭和の初めに結髪師向けに発行された機関誌。巴水は表紙の女性像を手掛けた。

 同館の家田奈穂学芸員によると、巴水は日本髪やパーマを当てた洋髪など女性の髪形を写生帳に描いており、この機関誌のために写生したとみられる。

 巴水は全国の風景画を描くため、実際に各地を旅行し、スケッチを行った。荒井はそうした巴水の足跡を求めて、現地を訪ねるのが楽しみだという。

 「自分が生まれ育ったふるさとをはじめ、子どもの頃に見た風景が巴水の風景画の中にある。人々の交流や人情が含まれていて懐かしい」と魅力を語った。(下野 綾)

 6月13日まで。5月3日を除く月曜と同6日休館。展示替えあり。一般800円ほか。問い合わせは同館、電話0463(35)2111。

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