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女性解放運動に尽力、山川菊栄に光を当てた企画展開催

文化 | 神奈川新聞 | 2021年3月16日(火) 05:00

1920年ごろの山川菊栄(山川菊栄記念会提供)

 明晰(めいせき)な理論とともに女性解放運動に取り組んだ評論家、山川菊栄(きくえ)(1890~1980年)に光を当てた企画展「山川菊栄とその時代」が、県立図書館(横浜市西区)で開かれている。日本のジェンダー平等の後進性が叫ばれる中、鋭い問題意識に貫かれた氏の思想は今日も語る力を持つ。

 東京・麹町に生を受けた山川は12年に女子英学塾(現津田塾大学)を卒業し、4年後に女性運動家、伊藤野枝との「廃娼(はいしょう)論争」で論壇デビューした。

 26歳で社会主義者山川均と結婚。与謝野晶子、平塚らいてうとの間で交わされた「母性保護論争」をはじめ、言論界で独自の女性・社会理論を構築する。

 36年には鎌倉郡村岡村(現藤沢市)に移住。戦後に労働省(現厚生労働省)が発足すると初代婦人少年局長に就き、女性や子どもの保護に尽力した。

 女性工員ら労働者の苦境に触れた体験が活動の原点となった。女性が学問や職業を追究する上で強い制限を受けた時代、はびこる良妻賢母主義もいち早く批判する。

 「山川菊栄評論集」(岩波文庫、鈴木裕子編)に収められた「自由社会における妻と母」(「婦人公論」1920年10月号)と題した論考でも、その一文が光る。

1948年、婦人少年局長時代。九州の炭鉱に自ら入り職場実態を調査した(山川菊栄記念会提供)

 「よき配偶者たるには、よき市民であれば足る」と喝破し、「良夫とか良妻とかいう仮空的な理想を標準として、もっぱら類型的な人間を仕立てようとする試みは愚である」と明快な筆致でつづる。無給の家事労働負担が女性に偏る構造に異を唱え、個の尊重を訴えた。

 「山川さんが提起した問題は今も色あせていない」と語るのは、同館資料部長の小松晶子さん(59)。企画展は山川の生誕130年に合わせて昨秋から展開するが、くしくも開始後に森喜朗氏の女性差別発言が物議を醸した。ジェンダー平等における日本の後進性を裏付けた発言でもあり、「今なお山川さんの言葉を自分ごととして受け止める意義がある」と小松さんは言う。

80歳の誕生日(山川菊栄記念会提供)

 企画展では山川の著作や翻訳書のほか、氏の業績をたどるパネルや70年代のインタビュー記事などおよそ40点の資料が並ぶ。婦人少年局長時代に女性の地位向上を目指して作製した啓発ポスターも。「政治は女のあずかり知らぬこと」「男本位の家の中」といった女性軽視の世相と、「ほんとうの男女平等」を実現するために必要な施策がイラストとともに示されている。

 第2次世界大戦中、市川房枝ら女性運動家が戦争協力に転じる中、社会主義者のフェミニストである山川は戦争に加担することなく反体制を貫いた。性差別のみならず、階級や民族差別も徹底批判。関東大震災下の朝鮮人虐殺に対し強く抗議した氏の姿勢も、展示は伝えている。

山川菊栄が残した言葉に触れる意義を語る小松晶子さん(左)と高田泰子さん=横浜市西区

 企画した司書の高田泰子さん(61)は「高い分析力とぶれない理論が他の女性運動家の中でも突出している。ぜひ山川さんの生の言葉に触れてほしい」と来場を呼び掛ける。

 県立図書館は、2015年にかながわ女性センター(藤沢市、現かながわ男女共同参画センター)から移管された山川にまつわる資料をはじめ、女性関連の書籍など8万超を保管する。小松さんは「企画展をきっかけに、女性問題の解決の一助となる他の資料にも関心を寄せてほしい」と話している。(服部 エレン)

 企画展「山川菊栄とその時代」は23日まで。平日午前9時半~午後7時(土日・祝日は同5時まで)。月曜休館。問い合わせは県立図書館情報整備課、電話045(263)5922。

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