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現代美術家
渡辺篤が月の写真を使った展覧会 横浜で28日から

文化 | 神奈川新聞 | 2021年2月22日(月) 16:30

準備中の会場。右側の白い壁は取り払い、写真などを展示する予定=R16 studio

 社会の中で生きづらさや孤立感を抱える人たちとアートを通してつながろうと試みる「アイムヒアプロジェクト」を主宰する現代美術家の渡辺篤(42)。同プロジェクトの参加者が撮影した月の写真を使った展覧会「同じ月を見た日」が、R16 studio(横浜市西区)で28日から始まる。渡辺は「月を見上げる行為は、社会に存在する別の孤立者を思い出させる時限装置だ」という。

 自らも引きこもり経験のある渡辺は、引きこもりの当事者らとアートを通してつながる同プロジェクトを2018年から手掛けてきた。だが昨年4月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言が発令されたことで、一時的にせよ、引きこもらざるを得ない状況になった人々の存在に目を向けた。

 「急速にコロナ禍が広がり、孤立感を訴える人が増えた。新しい生活様式として、他者と距離を取ることも必要になった」と渡辺。

 孤立感を抱える人たちを広く募り、それぞれが暮らす地から月を観察し、撮影した写真を投稿する企画を、同プロジェクトの一環として昨年4月から始めた。

 月を眺めることで、同じように月を見上げている他者の存在が意識される。フランスや北アイルランドなどの海外や日本各地から約50人がメンバーとして参加。これまでに千枚を超える写真が投稿され、特設サイトで公開している。

 今回の展示では、国道16号線沿いにある東急東横線廃線跡の高架下に設けられたスタジオに、直径約3メートルの円形スクリーンを設置。メンバーによる月の写真約70枚を、約15分をかけて満ち欠けするようにつないだ映像を投映する。

 高架下に巨大な月が浮いているような不思議な空間で、通りから見ることができるので、準備中も通行人が驚いて眺めていく。

 どこから見ても同じ月だが、寄せられた写真には、それぞれの生活の痕跡や孤独が垣間見えたという。

作業中の渡辺篤

 あるシングルマザーの写真は、月を背にした自分のポートレート。発達障害のある息子を抱え、普段はゆっくりできる時間がない、と深夜に林の中で撮られていた。

 「他にも、親との確執がある人、なぜ結婚しないのか、なぜ子どもを産まないのかと聞かれる中年期の独身女性など、コロナ禍に関係なく、他者と共有しにくい悩みを抱えるメンバーもいる」

 展示には、遠隔地にいるメンバーが操作してともす球体のライトも。「ここにいない誰か」を意識する仕掛けだが、渡辺の視線は、もっと先の存在に向けられている。

 「困窮者自らが手を挙げないと、福祉や医療などの支援はできない。だが、その向こう側に、声すら聞こえてこない人々がいる。そうした存在に気付けるように、アートで誘発できるのではないか。アフターコロナにこそ、このプロジェクトの狙いを定めている」

 同展は3月21日まで。水曜休場。午後5時~9時半。観覧無料。2月28日~3月5日は公開制作を行う。横浜市営地下鉄高島町駅徒歩5分。問い合わせは渡辺篤ウェブサイトのメールフォームから。

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