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横浜市民ギャラリーあざみ野で写真展

文化・科学 | 神奈川新聞 | 2021年2月10日(水) 18:34

新居上実の「家」シリーズが並ぶ一角=横浜市民ギャラリーあざみ野

 コロナ禍で長距離移動が制限される今、自然や街中での撮影がイメージされる写真において、ごく身近な被写体を通してどのような表現ができるのかを探る写真展「とどまってみえるもの」が、横浜市民ギャラリーあざみ野(同市青葉区)で開催中だ。7人の若手写真家が、現代を巧みに取り込んだ多彩な70点が並ぶ。

 コ・キュレーターとして同展を企画した菅沼比呂志(57)は「2000年代以降、デジタルが主体となり、外に出て撮影する行為に重きを置かれていた写真に、撮影後の作業を重視する見方が出てきた」と話す。

 そこで、家の中で撮影したり、撮影からプリントまでを自分一人で行ったりしている若手写真家の作品を集め、新しい写真表現の一端を紹介している。

 新居上実(にいたかみつ)(33)の「家」シリーズは、昨年4月に発令された緊急事態宣言の解除後、千葉の一戸建てに移り住み、部屋の中で撮り始めた新作。どこか殺伐としたミニチュアハウスを撮影したもので、本来なら心躍るはずの新しい生活が、コロナ禍の混乱の中で始まった不安な心情が伝わる。

 1984年生まれの山崎雄策が平本成海(なるみ)の名義で取り組んでいるのは「PRIVATE VOYAGER」シリーズ。自宅に届く千葉日報の紙面に掲載された写真を撮影し、そのデータを組み合わせて1日1点の作品を作り続けている。元の記事と切り離された画像が、見る者によって全く異なるイメージを生み出す。

木原結花の「行旅死亡人」をテーマにした作品=横浜市民ギャラリーあざみ野

 木原結花(ゆいか)(25)がテーマとするのは「行旅(こうりょ)死亡人」。官報などに掲載された身元不明の遺体についての情報から生前の姿を想像し、フォトモンタージュでポートレート写真を作成する。サイアノタイプと呼ばれるプリント技法を使った等身大の作品は横たわった姿のポートレートで、遺体が見つかった場所に出向き太陽光で感光させ、その場で水洗現像と乾燥を行う。虚構にもかかわらず、リアルな実像として迫ってくる。

 他に宇田川直寛、川島崇志、チバガク、吉田志穂の作品を展示。

 菅沼は「7人に共通するのは、学生時代に『こんなのは写真じゃない』と怒られてきた経験。今回、写真の面白さにいろいろな可能性がある、と自分自身も気付かされた」と話した。

 14日まで。入場無料。問い合わせは同ギャラリー、電話045(910)5656。

 
 

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