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鑑賞者に気付き促す現代アート 横須賀美術館「倉重光則+天野純治」展

文化・科学 | 神奈川新聞 | 2020年12月11日(金) 19:58

倉重光則の「真青な風景」=横須賀美術館

 作り手の心情表現よりも制作技法や素材の追求に重きを置く2人の芸術家を紹介する「倉重光則+天野純治展 ミニマリズムのゆくえ」が、横須賀美術館(横須賀市鴨居)で開催中だ。同館の空間だけで体験できる現代アートを楽しめる。

 三浦市在住の倉重光則(74)と葉山町在住の天野純治(71)。2人が20代を過ごした1960年代、米国を中心に美術界の大きな動向だったのがミニマリズムだ。装飾や説明を極限までそぎ落とし、工業製品などのそれまで美術とは見なされなかった素材を活用。展示場所など特定の場との関わりにこだわりを持ち、素材の色や形をシンプルに使う抽象表現に多くの芸術家が影響を受けた。

天野純治の「field of water」シリーズが並ぶ一角=横須賀美術館

 こうした時代を体験した2人の作品は、実験的ともとれる制作技法を追求し、鑑賞者自らの気付きを促す。

 倉重は光をモチーフに、蛍光灯やネオン管を使い、過剰な光が逆に物を見えなくしてしまう、といった二重性に着目。インスタレーション「真青な風景」は、70年代の自身の作品の記録写真が、部屋の中央に置かれた蛍光灯を囲む。「今、この場所で新たに読み直したい」との作者の思いが込められている。

 天野は版画の技法を追求し、何層も重ねた版によって浮き上がってくる時間の厚みや偶然性の面白みを作品にする。「field of water」はシルクスクリーンの技法で、印刷面の物質感を際立たせたシリーズ。透明な溶剤に着色した絵の具を重ね、表面張力が働く水のような画面を実現。小さなプールが並ぶような展示が面白い。

 同館の工藤香澄学芸員は「ミニマリズムから発展して、どのように自分のオリジナリティーを見せているのか。空間ごと体験してほしい」と話した。

 25日まで。7日休館。一般千円ほか。問い合わせは同館、電話046(845)1211。

 
 
 

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