横浜市在住の刺しゅう作家、浅賀菜緒子さんによる日本刺しゅうの本が人気を集めている。2015年に出版された「ちいさな日本刺繍」(河出書房新社、1760円)がこのほど、表紙を新しくした新装版として刊行された=写真上。
桜や猫、チョウなどの身近な動植物や、矢羽根、流水といった伝統的な文様の刺し方を初心者にも分かりやすく紹介しており、日本刺しゅうの本が少ない中で根強い支持を得ている。
昨年は「ちいさな日本刺繍 花と植物」(同、1760円)=同下=も刊行され、梅やアジサイ、コスモスなど愛らしい草花を小さな図案で紹介した。
日本刺しゅうは、よりがかかっておらず、「釜の中の繭から繰り取ったままの糸」を意味して「釜糸」と呼ばれる絹糸や金糸、銀糸を、絹地に刺すのが基本。絹ならではの、つややかな光沢が魅力だ。
伝統技法として職人が代々受け継いできただけあって、フランス刺しゅうなどに比べると難しいが、最近では着物好きな人や手仕事として楽しみたい人が取り組んでいるという。
浅賀さんは「絹糸に触れて、見るだけでも楽しい気持ちになれる。絹糸の美しさを知ってもらう機会になれば」と話した。