【2020年11月13日紙面掲載】
落語家・三遊亭圓朝(1839~1900年)の没後120年を記念し、日本画家・鏑木清方(1878~1972年)との絆を、圓朝ゆかりの幽霊画や錦絵など約50点を通して紹介している。
圓朝は清方の父、條野採菊(じょうのさいぎく)の友人で、清方を挿絵画家の道へ後押ししてくれた恩人でもあった。清方は52歳の時、肖像画の傑作とされる「三遊亭圓朝像」を手掛け、尊敬と感謝の思いを作品に託した。会場では同作の下絵を展示している。
「幽霊」は清方の数少ない幽霊画で、圓朝の七回忌法要に際して描かれた。茶を献じる女性の幽霊は、顔が見えないことで見る者の想像をかき立てる。怪談を得意とした圓朝は幽霊画を収集しており、圓朝の墓所がある東京・谷中の全生庵に伝わる。このコレクションから、清方と同様に文芸誌や新聞の挿絵で人気を集めた月岡芳年(よしとし)や鰭崎英朋(ひれざきえいほう)の幽霊画も並ぶ。圓朝の取材旅行に随行した際の旅日記も紹介し、多様な視点で関係をひもといている。
*29日まで。月曜休館。一般300円ほか。鎌倉駅徒歩7分。問い合わせは同館、電話0467(23)6405。