【2020年11月6日紙面掲載】
15世紀から現代までの木版画120点を紹介し、初期の素朴な表現から、現代美術としての斬新な取り組みまで、木版画の魅力を存分に伝えている。
欧州で木版画が作られるようになったのは1400年ごろ。15世紀半ばにグーテンベルクが活版印刷を発明すると大量の書物が出版され、木版画は挿絵に広く用いられた。
18世紀末には、堅い木材を横に切った切断面の木口(こぐち)に鋭い刃先で細密な線を彫り込む「木口木版」が発明され、画家の繊細な原画を優れた彫り職人が再現。リチャード・ドイルの水彩画を、エドマンド・エバンスが彫った「妖精の国で」は、12枚もの色版を刷り重ね、美しい書籍として人気を集めた。
19世紀の画家たちは浮世絵に影響を受け、芸術表現の一手段として着目。ポール・ゴーギャンが手掛けたモノクロの作品には、力強さが感じられる。
※23日まで。9、16日休館。一般800円ほか。町田駅徒歩15分。問い合わせは同館、電話042(726)2771。