秋の風流を楽しむ紅葉狩り。初紅葉、黄葉、照葉と多彩に表現。
【2020年11月1日紙面掲載】
週末には、二十四節気の「立冬」を迎えます。毎年、初めてみる「冬」という文字に、はっとするような気持ちになるものです。
ただ今年は、秋の訪れや、ひんやりとした空気を肌に感じるのも早かったせいか、冬を迎える支度や、衣替えにも時間をかけて行うことができたようにも思います。
それでもやはり、神奈川の平地と比べて、北国や標高の高いところの冬に向かう早さには驚かされます。春の訪れでは先をいくのに、いつのまにか追い越されてしまうのです。地球と太陽の星の動きが頭をよぎり、小さな国の中にも、その土地ごとに異なる季節のうつろいがあることを教えてもらう時でもあります。
散歩でいつも歩く道には、紅色のミズヒキ、鮮やかな黄色に染まりはじめたセイタカアワダチソウ、夕暮れになると開くオシロイバナ、そして野菊が自然に目に入ってきます。
見上げる木々の紅葉がはじまる前に草木から色づいていくので、心なしか足元から色で温められているように感じることがあります。
一気に色づく北国の紅葉の美しさにはかないませんが、順々と色づいていく時の流れを味わえるのが、神奈川の平地の紅葉の楽しみの一つではないかと思います。
光沢のある美しい葉や、色づいて照りかがやくような葉のことを「照葉」と呼びます。
日本でもいち早く紅葉の訪れる北国から、今年も照葉が届きました。
行事研究家・文筆家 広田千悦子、写真 広田行正